結婚を機に専業主婦になって早1年が経とうとする。ビザ手続きの関係で仕事ができず、家で過ごす時間が一気に増えた。

専業主婦になり最初のうちは、寝たいだけ寝て朝はゆっくり起きて、日中は結婚式の準備に時間をたっぷり使って。旦那がリモートワークということもあり、月1で旅行か、マラソンレースを兼ねたバケーションに忙しくしていた。それに加えて家族の誕生日、サンクスギビングやクリスマス、ニューイヤー休暇には、12時間かけてのロードトリップで旦那の実家にも頻繁に帰った。目まぐるしいスピードで1年が一瞬で終わったように感じた。

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そんなこんなしているうちに、もうすぐビザが下り仕事に就けるようになりそうなのだ。「早く外で働いて、自由に使えるお金を稼ぎたい!」という気持ちとは裏腹に、「このまま専業主婦でいれば楽かも……」なんて、正反対の気持ちの葛藤の狭間にいる。それでも、「将来どう在りたいか」と自分に問うと、1番に思い浮かぶのは、ママになってもバリバリ働いている「自立している女性」の姿なのだ。

日本で転職を何度か経験したこともあるが、新しい職場を探すときはいつもワクワク胸が高鳴っていたのをよく覚えている。しかし、1年間の専業主婦の期間を得て、何もしていなかったギャップに自分でも驚くほど再就活に向けて不安だけが募るのだ。夜になると、「できないこと」ばかりに目が向き、「このまま何もできないんじゃないか……」という弱い気持ちで心がいっぱいになる。求人サイトを見ては、「あれもできない……これも難しそう……」と。自分らしくない自分に、さらに落胆する。

「挑戦しないことは、自分の人生を全うしていない」。私の座右の銘は、「できる・出来できないではなく、やるか・やらないか」だ。

陸上部の恩師から頂いたこの名言は、いつも弱気になった時、私の心を熱く奮い立たせる。そう、私はいつも「できる」ではなく、「やれる!」という前向きな強い気持ちを持つことで、物事に取り組むか決める時の判断基準にしてきたのだ。どんなに弱気になっても、どんなに不安に心が押し潰されても、「私なら、やり切れる!」とだけ信じて行動してきたのだ。だからこそ、異国での再就活に向けても、「弱い自分に負けたくない」という、強気な気持ちが勝るのだ。

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春から再び動き出そうとする新生活。ランドセルを背負ってルンルンと、小学校の入学式を迎えた20年前が昨日の事のように思い出される。そんな大人になった私は、弱い自分が殻から出ようと、必死にもがき続けてきた長い長い冬を経て、また暖かい春を迎えた。人の心は外見からのパッと見じゃ分からないように、再就活に向けて密かにヒシヒシと心を燃やし続けていた私。

今年こそ、桜が満開に咲くことを強く願って。
新卒時に叶えられなかった、長年の「CAになって、世界を飛び周る」という夢を叶えるチャンスがやっと巡って来たのだ。もうここまで来たら、「できる・できない」ではなく、「やるか・やらないか」なのだ。