「文章で仕事をする」という目標を叶えるため、私はクラウドソーシングを始めた。
とはいえ、実はこれが初めてではない。半年以上前に新規登録をしていたが、1度も応募することなく諦めてしまっていたのだ。
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夫に勧められ、そーっと扉を開けたクラウドソーシングという世界。作家と出版社という関係でもなく、どこかにライターとして所属するのでもない。不特定多数のクライアントが不特定多数のライターと案件ごとの契約を結ぶという場は、私にとって新鮮で、不思議に映った。
しかし、どうすればいいのかわからない。
お仕事は執筆系だけで何千件もあるのに、自分に合うものが全然見つけられなかった。専門的な知識が必要だったり、文字数がべらぼうに多かったり……。
今まで踏み入れたことのない世界だから疑心暗鬼になるのは当たり前。それに、そもそも自分の得意なことにピッタリな案件なんて早々あるものではない。あれもこれもムリ、と思うのは傲慢なのである。
しかし、スクロールすることに疲れた当時の私は、「ここ、私には向いていない」と何もしていないうちから判断。「この時間を読書や別の執筆に充てたほうがよくない?」と、クラウドソーシングから撤退したのだった。
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それから時を経て、再びこの世界の門を叩いた。
今度こそ「応募」までこぎつけてやる、と威勢よく突入したのはいいものの、やはり選びかたがわからない。だがここでやめてはただの二の舞い。毎日根気強くスクロールし続けた。
その間、ライティング講座で講師の方が語っていた「やってみることが大事」をいつも頭に浮かべていた。この講座は初めて契約が成立した記念すべきお仕事(?)だったのだが、この前向きな言葉は今でも精神面で支えてくれている。
自信満々でできる仕事なんてそうそうないと言い聞かせ、少しでも書ける可能性が見えれば「ええい、ままよ」と応募ボタンを押していった(それでも石橋は結構叩いちゃっているけど)。
実績も資格も無いので、当然落ちる。ただただ壁打ちをしているような1週間だってあった。しかし現在、ありがたいことにいくつかお仕事をいただけている。
そのなかには、自分のエッセイを読んで仕事を振ってくださったかたもいた。クラウドソーシング内で振り絞った勇気だけでなく、これまでの活動も一緒に報われた気がして、すごく嬉しかった。
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今はほとんど1日中、書いたり考えたり調べたり……という日々を送っている。案件以外の執筆もこれまで通り続けたいので、本当に書く時間が増えた。しかし、クラウドソーシングを始める前よりも日々が充実している気がする。
趣味の時間やたまの外出もこれまでより楽しく感じられるし、「働いている」という事実は私にとってすごく大きいんだなと改めて感じた。
今はいただけているお仕事を続けながら、他にも何かできないかと模索の日々。まだまだペーペーで信用も無い私だが、着実に経験は積めている。落ちることによるダメージからも少しは強くなっている(はず)。
確定申告しなきゃ……と頭を悩ませられるくらいになりたいな、と、非常に調子の良いことを言ってみる。言霊っていう言葉もあるからね。