深夜、私は自分に絶望していた。
誰しもネガティブになる時間はあると思うのだが、私は大抵そのとき、私自身に絶望するのだった。私なんて私なんて私なんて。そういう言葉が溢れてきてしまう。

一人が怖くて死にそうな夜、誰かを探してTwitterに呟いた

真っ暗な部屋で、時計の音だけが鳴る空間。いつもより心臓の音が近くに感じる。カチカチカチカチ、ドクドク。気味の悪さに一人勝手に怖気付いてしまう。怖い。一人が怖い。誰か、誰か、たすけて。傍にあった携帯を、何かを引きちぎるかのような手つきで乱暴に取った。何度もパスワードを打ち間違え、余計焦ってしまう。

焦った状態のままLINEを開いて、恋人に電話をかける。出ない。親友に電話をかける。出ない。友達に電話をかける。出ない。そこから数人の友達に電話をかける。やっぱり、出ない。怖いよ、一人は嫌だ。このままじゃ死んじゃうかもしれない。今いる部屋から飛び降りたらどうしよう。トイレのドアノブに首を吊ってしまったらどうしよう。不安だけがどんどんと大きくなる。
そう思って私は、Twitterを開いた。昔作った、こんな気分の時だけに呟くアカウント。
”たすけて”
”苦しい”
”誰か話そう”

それだけ呟いて、携帯の画面を消し、私は声を殺して泣いていた。
時間はもう、深夜2時半をさしていた。ここにも誰もいなかったらどうしよう。勢いのまま私は死んでしまうだろうか。起きたらいないのだろうか。不安で手が震える。やだやだやだ。死にたくない。でも死にたい。生き地獄だ。こんなのどうしたらいい? わからないこわい。誰か。誰でもいいから。

本名も顔も知らない人からの返信、でも今はそんな人の言葉が欲しい

消した携帯に光が灯った。

”どうしたの? 一回落ち着こう”
私のツイートへの返事だった。
”こわい たすけて”
”DMで話聞くよ”
返事をくれた人は、相互フォローしている人からだった。私よりも年上の男性で、私がこうしてツイートすると必ずと言っていいほど言葉を与えてくれた。彼も彼で、見る度辛そうだった。私と同じように死にたがっていたし、死ねていなかった。なのに、彼は話を聞いてくれる。
彼とのDMを開いて、必死に打つ。
”わからなあ”
焦って、誤字ってしまうが、そんなこと気にする余裕もなかった。
”死にたくてたまらない しねない”
”わかるよ。俺もそういう時あるから。死にたいって言ってる君に、今こういうこと言うのは適切じゃないかもしれないけど、俺は君に生きていてほしいと思うよ。だから、死ぬな、まだ死ぬな。俺も頑張るよ。一緒に頑張ろう、大丈夫だよ。”
”生きたいよ”
”生きれるよ”
涙で呼吸もおぼつかなくなり、前はぐちゃぐちゃになっていった。
他人からしてみれば、バカみたいなやり取りだと思われても仕方ないと思う。お互い顔も本名も知らないのに、一緒に頑張ろうと励まし合う。そんな関係性。病んだときだけ話す友達。でも私は、辛い時、病んだ時、友達よりもそんな人の言葉を欲している時が多い。

知らないあなたのおかげで、今日も私は生きられた。ありがとう

”頑張って生きる”

泣きながら、やり取りを繰り返してるうちに、画面を開いたまま寝てしまった。時計は、朝の10時をさしていた。携帯の画面を見ると深夜4時を最後にDMが送られてきていた。
”寝ちゃったかな?”
”今日は頑張ったからゆっくり休んで”
だいぶ落ち着いてたから、少し心の余裕のある状態で見れたと思う。
”寝れた、ありがとう”
それだけ送ってTwitterは閉じた。
恋人、親友、友達から、どうしたの? と怒涛の連絡が来ていたのを見て、深呼吸をし、ちゃんと生きてることを確認して、全員に同じ文章を送った。

”ごめん! 笑 酔った勢いでかけてたっぽい! まじごめん笑”

SNSでしか知らないあなたのおかげで、今日も私は生きられた。ありがとう。