人は何のために働いているんだろうとぼんやりと考えた。当たり前のことだと思うが一番の目的は食べるためだと思っている。

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食べるためにはお金がないといけない。お金を稼いでそのお金で食料が買える。そして料理を作ることができ、お腹を満たすことができる。幼い頃はとてもわがままな子供で自分のことしか考えなかった。両親が作ってくれたり、買ってくれたりしたものにケチをつけて、もっと違うものが食べたい、嫌いなものや、食べる気がなければ平気で食べ残しをしていた。

学校の給食も残してしまうことが多かった。学校の白米は安いものを使っていたのか?全く美味しくなかった。他のクラスメイトが白米を平らげる中、私は1人白米を潰して、いかにも少しだけ残したというように見せかけていた。そんな私も大人になって、社会に出て働くことでお金を稼ぐことがどんなに大変かということがやっと分かった。日々仕事をしている両親に感謝の気持ちも生まれた。

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自分の家では、両親が日々の食事を作ってくれていた。
平日は母親。休日は、父親が食事を用意してくれる。
父親は家事育児を妻に任せきりで何もやらないという声が多いが、私の家では父親が積極的に家事をしてくれる。料理も作ってくれる。

海外の珍しい料理が食べたいというと、作ってあげると作ってくれる。ガパオライスというタイの料理が好きで、作ってくれた。
とても美味しかった。

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最近、自分の将来に不安を感じることが増えてきた。両親がいなくなってしまったらどうしたらいいのだろう。
私は恥ずかしながらほとんど料理をしたことがない、恥ずかしいことに洗濯もやってもらっている。家の掃除もめったにしない。
20代後半で今はパートナーがいない。パートナーを望んでいるけど、こんな状態ではパートナーができても苦労を沢山するだろう。

自立しなきゃ、と思った。
まず身の回りの整理整頓をと、身の回りを綺麗に清潔に保つよう心がけている。
家族が使った食器も気づいたら洗うようにした。日本の食器はなぜこんなに多様なのだろうか。ワンプレートなら、沢山の食器を洗う必要がないのではないかなと思っている。
もっと物事をシンプルにできないのかなと思った。

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休日は、思い切って料理に挑戦してみることにした。


野菜をたっぷり入れたミネストローネを作った。もしかしたらミネストローネは初心者でも簡単に作れるのかもしれない。野菜を適当な大きさに切る、炒める、水やトマトソースを入れて煮込む。お皿によそってパセリをふりかける。フランスパンを切って軽く焼いて添えればとってもおしゃれだ。両親も褒めてくれて、初めてにしてはなかなか上出来だと思い、少し自信がついた。 

次に作って失敗してしまったのはカルボナーラだ。卵に火が通り過ぎてそぼろになり、焼きそばになってしまった。

鍋にこびりつき、こすってもなかなか汚れが取れず苦労した。
そんな苦労や失敗も勉強になったと思う。
これからも失敗を恐れず少しずつ料理に挑戦していきたい。
自分のために、まだ分からないけれどもしかすると誰かのために料理をすることになるかもしれない、その未来のために。