私は生理痛がとても重い。
小さい頃から、それが当たり前だと思い過ごしてきた。
生理が来れば鎮痛剤とお友達。なくてはならない存在。なかったらとても不安。
家にも鎮痛剤があるのが"普通"だった。

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10歳から生理が始まり、15年も痛みやその時期特有の吐き気に耐えながら過ごしてきたある日、それは起こった。
生理予定日を管理するアプリを見ながら、そろそろ生理が来るかな……と思い始めていたある日の朝、起きた瞬間に子宮に急な痛みと、いつもと違う強い吐き気、大量の冷や汗、目眩がしたあと全身の力が抜けて立てなくなった。
「これはやばい」と思い、近くに置いていた携帯を取りすぐに母に連絡したが、仕事中で出ず。
意識を失いかけていた中で自分で救急車を呼んだ。
救急隊員の人が来た時には、もう吐き気や冷や汗は治まっていたが、痛みだけがずっとあり婦人科に運ばれることに。

病院に着いたらすぐに医師に引き渡され、痛い箇所やその他にあった症状を伝え、しばらく待っていて下さいね、と待機場所のような所へベッドごと連れて行かれた。
落ち着いてきた頃、「帰れるかな〜」と余裕が見えた時に、カーテン越しに看護師さんたちが「緊急手術だって!用意して!」と話しているのが聞こえた。
私の他にも運ばれてきた人がいたんだ!手術か〜大変だな〜、と呑気に思っていたら、それは私のことだった。
私は緊急手術を受けることになった。

原因は卵巣嚢腫。
卵巣が腫れていたのだ。

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その時に先生から説明を受け、受け答えなどしていたが、手術が初めてだったので、手術をすること自体に緊張していて、正直何を言われたか、何を答えたか覚えていない。
いつの間にか手術は始まり、麻酔を打たれ、局部麻酔だったため看護師さんが手を握ってくれていて、気を紛らせてくれていたのか、ドリカムが流れていた。
だが、場所が場所だけに手術中も吐き気が止まらず吐いており、主治医に「力入れないで!!」と怒られたのが最後の記憶で、いつの間にか全身麻酔に変わったらしく、目が覚めたら病室だった。そして仕事に行っていたはずの母がそこにいた。

医師に説明されたのは、放置していたら卵巣を全摘出しなければならなかった、これから2週間入院と言われ、早めに症状が出て良かったねと先生は言ってくださった。

一気に言われてその時は覚えてられなかったけれど、後から看護師さんからもひとつずつ丁寧に説明があった。
その時に看護師さんから、腫れた卵巣の摘出部分を収めた写真も渡された。
標準がわからないので、腫れていた部分だよと見せられてもわからなかったが、摘出したことだけはわかった。
入院の間、手術中に手を握ってくれていた看護師さんも顔を出してくれた。家族の支えもあり、無事に2週間で退院できた。
その後も経過観察で同じ病院に通院し、月経困難症用のピルを飲むようにと渡された。

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そのピルは魔法の薬のようだった。今までの生理痛が嘘かのように軽くなり、吐き気もパッタリと無くなった。1週間が通常だった生理も3日で終わるようになり、身体も気持ちも本当に軽くなった。

卵巣嚢腫にならなければピルの存在も、そのピルのおかげで生理や生理痛が軽くなる事も知らなかった。もしピルを知らないままだったら、今でも痛みや吐き気に耐えていたかもしれないと考えると、この体験は私にとって、とてもプラスに働いた出来事だったと思えている。
そして生理痛が重い人には、ぜひ産婦人科に行ってピルの相談をする事や、ピルを飲むことを1度検討して欲しいな、とも思う。

ピルを飲むことは恥ずかしいことでも、重たいことでもなく、自分の身体に優しい選択ができるひとつの方法だという事を知っていて欲しい。
それが、自分を大切にすることに繋がるから。