新入生歓迎会のお知らせがあった。内向的な自分と訣別して新しい自分になるために、勇気を出して申し込んだ。もう一度人間と関わろう、そんな風に決めた過去を裏切りたくなくて、頑張ろうとしていた。それなのに、当日の朝、私は起きられなかった。布団から出られなかった。そして再び目を覚ましたのは、行くはずだった歓迎会の、終了時刻だった。

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いつも一人で過ごしている私には、人が互いに関わり合っている様子は、とても楽しげなものに映る。私もその楽しさを手に入れたくて、頑張ろうと思っていた。でも、新たな環境で、エネルギーが思いのほか消耗していた。もう、頑張ろうという気持ちを持ち続けることができなかった。

昔から集団には馴染めなかった。でも、周りは普通に馴染んでいた。どうして、私はみんなが普通にできていることを、頑張らないとできないのだろう。どうして楽しめないのだろう。全て、自分への障壁になって、課題になって、頑張らないと、と思ってきつく身体をこわばらせて乗り越えてきた。でももう心は限界だった。

もう頑張るのは嫌だ。辛い気持ちを平気なふりして押し込むのは嫌だ。だから、自分が本当に楽しいと思うことをしよう。本当にやりたいことをやろう。心の声を無視しないでもっと、思いのまま、心のままにやると決めた。

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また、出来事は出来事に過ぎないのだから、それらを全て、成長するための糧にしようと思うのもやめよう。人生を課題だらけにしない。せっかくなら、今を楽しく生きたい。理想の私はいつも偉そうに見えるけど、実は、私がこの今を生きてるということ以上に、何も偉いことはないはずだ。

サークル活動が自分に合わないと思ったら入らなくていい。大学生イコールサークルなんてイメージ捨ててしまっていい。ラインの友だちの数が少なくたっていい。普通じゃない自覚があるなら普通にならなくたっていいと思うし、友人作りが緊張するならやめればいいという話だ。自分の心を萎縮させてまでやるものじゃない。一生懸命生きている先に出会う人がいる。それでいい。今日、無理に行かなくてよかったのだと、自分を許せたような気がする。

確かにちょっと、周りからはズレている。でもそれを気に病む必要は一切ないと思う。周りは周りで、私は私。私の心が楽しいと思うことをやるだけだ。みんなが楽しいことが私が楽しいとは限らないのだし、極限まで、自分だけの『楽しい』を追い続けていればいいのだ。

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なんでもかんでも理屈付けすることをやめよう。予備校で、先生のことが好きだったから毎日楽しくやったように、今回も私は私で、毎日楽しくやればいい。大学では勉強をしたい。少し難しそうな科目があるから、それを頑張りたい。いちいち目の疲れるコンタクトなんてしなくていい。彼氏なんてほしくない。よその女の子なんて知らない。私が私で、好きにやればいいの。

気分が乗らない朝にいちいち化粧をしなくていいと思ったら、大学で勉強を頑張ろうと思ったら、無理にサークルに入らなくていいと思ったら、やりたい課外活動をしようと思ったら、なんか初めて、大学が楽しそうだと思えてきた。楽しいは自分で作るの。ウキウキはどんだけしてもいい。

私だけの毎日。私だけの年月。誰にも何にも邪魔させない。それがたとえ異質だったとしても、私は構わない。なぜなら、見かけはどうあれ、中身は楽しんでいるのだから。むしろ今までの自分みたいに、世間の『楽しんでる』のふりをして、心が死んでいる方がずっと嫌だし、もったいないと思う。世間と違う自分を認める。そして、そんな自分にだって、楽しむ権利がある。私は、私らしく生きよう。