1年間の専業主婦を通して、私は「仕事人間」かもしれない……とつくづく思った。
専業主婦になる前は、「結婚して家庭に入ってしまえば、なんて最高な毎日を送れるのだろう…」なんて考えは浅はかだった。

実際に結婚して家庭に入って、家事だけをするようになると、1ヶ月も経たないうちにそれに飽きてしまった。
そして、在宅でリモートワークしている旦那だけが、私の世界となった。
24時間、365日、ほぼ毎日彼と同じ空間にいる。
彼との時間だけが、私の時間になっていた。
「社会との繋がりは、会社に所属することから」。
専業主婦生活を始めて、そう改めて強く感じるようになった。

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そんな中、旦那と共通の趣味であるランニングが私の世界を広げてくれた。
地元のランニングクラブに所属するようになってから、性別や世代を超えたランナーたちとの繋がりが出来た。

週3回の練習会に参加すればするほど、仲間と話し、彼らのことを知る機会が増えた。
その時初めて、「会社に勤めなくても、コミュニティーに関わることで、社会との繋がりは出来るかもしれない……」と、人とコミュニティーとの繋がり方を学んだ。

その一方で、仕事に就かなきゃ……と、同世代の仲間と比べて焦っている自分もいた。
言語の壁や専門知識などに特化した職歴がない私は、日本での就活と比にならないくらい、足踏みする日々が続いている。
それでも、「働きたい」という気持ちの方が強いから、社会と繋がれる仕事を探しているのだろう。

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新卒就活の時は、給料や手当てなど関係なく、やりがいのある仕事の方が自分に合っていると思っていた。
だが、実際数年働いてみると、やりがいより、給料の方が自分にとっては仕事をするモチベーションになることに気付いた。
給料がいいから、苦手な業務もやりたくないことも、割り切って仕事をやり切ることが出来た。

汗水流したその給料で、自分の好きなように贅沢できるから、またそれを日々のモチベーションに頑張れた。生活やちょっとした贅沢をするには困らないくらいに稼げるようになり、ふと自分の部屋を見返すとこの数年で色んなモノで部屋が溢れていた。
一度しか着ていない服、飾っているバック、オブジェ化しているアクセサリー、靴箱に眠った靴やサンダル。

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確かにお金があれば、欲しいモノを欲しい時に手に入れられて、心は満たされる。
でも私が本当に欲しかったものは、服やバックやアクセサリーではなかった。
モノを買うために仕事に就いて働いているのではなかったのだ。
モノで溢れてしまった部屋は、転職を機に断捨離をして、本当に必要なモノしか持たなくなった。

そう、私が本当に手に入れたかったのは、仕事を通して繋がった人脈や、先輩方の経験から学ぶこと。
それらが仕事をしていて最も私のモチベーションに繋がって、日々の仕事のやりがいだったのだ。
そう気が付いてから、「人との心の繋がり」って、本当に大切だと感じた。
それこそが、私の仕事が好きだなぁ、と思う瞬間でもあった。