私と東京の関係は薄い。特に何の思い入れもない。東京についての思い出を探して「東京ディズニーランドは家族で何回か行ったな~」と考えたが、ディズニーランドは千葉だ。東京にも何度か旅行で行ったことがあるが、正直あまり覚えていない。そもそも大阪に住んでいる私は都会というものに慣れており、やはり規模は違うものの、「めっちゃ都会」というくらいの印象でしかない。

しかし、東京について考えるとなぜか「東京には住みたいとは思わん」となる。これは偏見なのか、私の中に何か根拠があるのか。

◎          ◎

まず私は人混みが苦手だ。人混みが苦手にもランクがあると思うが、私は“かなり”苦手だ。体調が悪くなってしまい、それに伴って機嫌も悪くなる。1人でいるときは泣きそうになりながら人混みから逃げ去り、複数人でいるときは集団からはぐれないように必死でついていく。大阪でもそんな感じ。
東京の人混みとなると大阪を上回ってくるので、私は発狂しそうになる。

行ったのが渋谷、原宿、新宿あたりだったからそうなってしまったとも思う。吉祥寺に行ったときは「とてもいい所だな」と思った。東京をひとくくりにするのは間違っていたのだと知る。東京下町は案外落ち着いていて、人情味のある町も多いのだろう。吉祥寺が下町でなかったらすみません。

◎          ◎

東京が苦手な理由として、「標準語の壁」もあるかもしれない。大阪出身の私はもちろん普段大阪弁を話すが、大阪弁は関西を離れるとかなり目立つ。「標準語」でもなく「田舎の訛り」でもない、大阪弁特有の色々がある気がする。そして大阪弁のベースにあるのが「ウケ(笑い)」。これは全員に当てはまるわけではないが、基本的に「おもんない」ことは話さない。この「おもろい/おもんない」の基準はそれぞれだが、会話をする上でセンスが必要となる。

大学生の頃、東京の大学に行った友人が「東京の人の話、ほんまにおもんない…」と嘆いていた。その友人は特におしゃべりなタイプで、東京でも同じテンションで会話をしたところ、周りが冷たい空気に包まれたそうだ。大阪に帰省するたびに、日頃出せていない「ネタ」をここぞとばかりに発表していた。

よく「女の話にはオチがない」ということも聞くが、大阪の女の話には大体オチがある。各々が自分のキャラクターを自覚しており、そのキャラクターに合わせたオチまで持っていくのが大阪の会話だ。もうそろそろ「やっぱり大阪って怖い」と思われていそうな気がする。

◎          ◎

でもやはり東京は夢がある。テレビに出る人、雑誌に載る人、音楽を奏でる人、動画を作る人…私たちの「楽しい」を作ってくれている人の多くは東京にいる。ということは、東京には「楽しい」の源があるといえる。東京に感謝。

とはいえコロナでリモートワークが進んだことにより、生活する場所の選択肢も広がりをみせつつあるように思う。必ずしも東京にいなくてもいいという時代になってきた。ひろゆきさんとか杏さんとか、もはや日本にいないのに、日々発信されている。これが多様性というものなのかもしれない。

締めくくりますと、東京に住みたいとは思えないけれど、きっとすてきなところなんだろうなという、なんともおもんない内容です。