毎日欠かさず練習/勉強して、リハーサルの時はほぼ完璧。「よし、本番は大丈夫だ!」

しかしいつも本番になると練習とは異なることをしてしまったり、思わぬところでつまずいてしまう。本番後に返ってくる結果は、 「ちゃんと練習した?」や「まだまだだね」、「不合格」だった。

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私は自分でいうのもあれだが、かなりの努力家だ。求める結果を全て得たいと思い、衣食住や友達との交流を忘れるほど事前に準備する。模試やリハーサルはほぼ完璧で、「これなら本番当日も大丈夫だろう。」と他から認められるほどだ。

しかし、私はそれでも「ダメな気がする…」と予感を察する、いや、それをしてしまうのだ。

「緊張なんて無くなればいいのに…」

これまでに何度願ったことか。

私のこれまでの努力はすべて「緊張」により潰される。

就活を例に挙げると、一次試験はボーダーライン以上で難なくパス。二次の面接に進めて研究室の教授も「ほたるさんなら内定もらえると思うよ」と背中を押してくれた。

にも関わらず二次面接の会場に着くなり一気に緊張が高まってしまい、面接官の質問にも答えられない上に目が泳いでしまうなど挙動不審の行動をした。後日「今回は内定を見送らせていただきます。」という通知が届くのだった。最初は「まあ難しいところだったから仕方ない。次に活かせば良い。」と直ぐに切り替えることができたがこれが後何重も続くとなると、 このエッセイを読んでいる方々は耐えられるだろうか?

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2社目以降も同じように緊張により自分を表現することができなかった。暗記してきたことが、風船のように「パン!」と割れて頭の中が真っ白になってしまうのだ。

時に「緊張を和らげる薬」を飲んだり、家出る前にお酒を飲んで気楽にいこうとしたが、いざ解答用紙や面接官の目を見ると一気に舞い上がってしまい、自分でも何をしているかわからなくなってしまった。

ついには母に「私は異常者だから、病院にぶち込んでください」と言うまで、私は緊張に長年悩まされてきた。

部屋に入る前までは「自分はうまくいく!自分はうまくいく!」と言い聞かせ、うまくいった自分を想像するが、緊張で全て壊れていく。私は、ただ成功して自分を褒めてあげたいだけなのに・・・。

やがて自分に期待が持てなくなり、自分自身に「ダメな人間」とレッテルを貼りまくる自分ができあがった。

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つい最近も緊張してうまくいかないことがあって、「緊張して失敗してしまう」というフレーズで検索した。

緊張は誰にでもある自然なことだが、緊張による症状が酷いと「社会不安障害」の可能性があるそうだ。そして認知行動療法や薬物療法などにより克服できるそうだ。あくまでインターネットの情報なので自分がそれかどうかは医師の診察を受ける必要があるが、もし自分がそれだったら治療より緊張による失敗を減らせるのではないか、とわずかな希望が見えた。

しかし、「ああ、私は結局病気だったんだ」とも思ってしまった。なんとか今までの苦悩から救ってあげたい自分と「ダメな奴」とさらにレッテルを貼ろうとする自分が混ざっていく。

私の緊張を克服するのが、こんなにもハードルが高いと思わなかった。

頭が痛い。

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結局今も極度の緊張を診てもらおうと心療内科に行くことに頭を悩ませている。しかし、私は緊張の先にある成功した景色を見てみたい。そして、思い切り頑張った自分を褒めてあげたい。

「緊張が無くなればいいのに…」

そう願わなくてもよくなる日が来るのだろうか...。少しでも前へ行きたいと手を伸ばす今日だった。