私は20歳になるまで旅行が嫌いでした。スケジュールを沢山詰め込んで、それらをこなす作業だとしか思えなかったからです。親のエゴと見栄で半強制的に参加させられる家族旅行も、学校の都合で行きたくないところに苦手な人と一緒に数日間も拘束される修学旅行も嫌いでした。

私の両親は家族旅行が好きで有名テーマパークなどに高校3年生までほぼ毎年「連れて行ってくれました」が、そもそも私はそのテーマパークが好きではないので、家族旅行に行くお金があるならば流行の服やゲームなどが欲しかったというのが本音でしたし、裕福ではないのに毎年のように家族旅行をさせられることに嫌気がさしていましたし、楽しくないのに楽しいふりをして家族写真を撮られることが特に苦痛でした。

修学旅行は小学校、中学校、高校、どれも嫌でした。小学校は隣の県に1泊2日なのでまだよかったのですが、中学校と高校は新幹線を使う距離に3泊4日だったので何処に行ったのかは殆ど覚えていなくて心身ともに疲れたことしか覚えていません。

家族旅行も修学旅行も、皆がとにかく沢山のお土産を爆買いして近所の人や親戚など色々な人に配らないといけない文化が個人的にはとても嫌でした。時間やお金や手間を沢山かけてまで周囲の人に旅行に行ったことを自慢しているようにしか見えないからです。

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そんな感じなので私は旅行が嫌いだと思っていましたが、20歳の時に好きなアーティストのコンサートのために一人で大阪に行った時に初めて旅行が楽しいと思いました。

当初は地元公演のチケットが取れなくて仕方なく大阪まで行くのだと思っていましたが、自分の意思で行きたい場所に行って、好きなものを食べて好きなものを買うのはとても楽しくて新鮮でした。

それまで私は旅行といえば時間に追われて沢山のスケジュールをこなす作業だと思っていましたが、20歳で初めて一人旅をしてからは、旅行というのは無理にスケジュールを詰めなくてもマイペースに楽しめるものだと知ったからです。

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開演の数時間前にコンサート会場の最寄駅に到着したので、本来ならば観光したほうが良いのかもしれませんが、コンサート会場から徒歩5分程度の場所に予約したホテルにチェックインしてからは観光はせずにホテルの中から景色を見たりホテル内の大浴場に入ったりしました。

せっかく大阪まで旅行したのに無駄かもしれませんが、移動で疲れた体を休めて万全の体調でライブに参加できたので、観光と呼べるような事をしなくても大阪に行ったのは良い思い出です。

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それから、大阪以外にも山梨、東京、神奈川、愛知、山形、岩手にコンサートのために旅行しました。旅行というよりは遠征推し活なので観光と呼べるようなことはあまりしていないのですが、一人なので気が向いたらすぐに予定を変更して行きたいところに行ったり行かなかったりが出来るので気が楽で楽しいです。

コロナ禍で4年程度は旅行をしていないのですが、近いうちに再び、遠征推し活を兼ねた旅行がしたいです。 

遠征推し活目的ならば同じ趣味を持った推し活友達を作った方がいいと思う方も多いかもしれませんが、同じ趣味の人同士でも価値観や金銭感覚などが合わなくて負担になってしまうので現時点では推し活友達が欲しいとは思いません。他人に気を遣わずに色々と融通がきく一人旅が好きだからです。