夜になると、やることがたくさん出てくるのはなぜだろう。時間はたっぷりとあったはずなのに、途端にやり残したことが走馬灯のように出てくる。そして焦る。これまでたくさん時間があったはずなのに、ひとつもやりきったことが出てこない。期日が迫っている仕事、容量の少ない録画デッキ、気になっていた推しのSNS。すべて思い出すのは夜。しかもベッドに入る直前だ。同時に、大きな後悔にもさいなまれる。一日、自分は何をしていたのだろうと自問自答する。これまで時間はたっぷりあったはずなのに、時間を持て余して過ごしていただけである。何もしなかったことを後悔するとわかっていて何もしない時間を過ごす。時間を捨てるという行為を、悪いとわかっていてする確信犯である。

◎          ◎

さまざまなことを思い出した瞬間、時計を見る。今日が終わるまでにあと1時間。録画デッキの整理くらいならできるだろう、と消したはずのテレビのスイッチをつける。まだ見ていない番組がずらっと並んでいる。ぱぱっと確認できそうな番組から見ていくが、これまた見始めてしまうとそのまま再生を続けるのが私の性格らしい。ただ時間だけが過ぎていき、寝なければ、という焦りが大きくなる。次の日も仕事なのに、こんなことをしている場合ではない、とブツブツ心で唱えている自分もいる。やっとの思いで1番組消去した。残高を見ると、まだ2時間くらい空けないと安心できない容量だった。これ以上はさすがに支障がでると思い、泣く泣く布団に入る私。

布団に入っても、明日起きてすぐビデオ整理をしようと言い聞かせて眠りつく。ところが目は、さっきまでテレビの光をこれでもかというほど浴びていたこともあり、目だけが覚醒している感覚なのだ。せっかく寝たくなっても、スムーズに入眠できる気がしない。何度も寝返りをうち、録画管理のことを考え、さらに意識は覚醒していく。

◎          ◎

翌朝になり、目が覚める。知らぬ間に入眠していたようだ。こうして目が覚めるとき、自分がどこで眠ったのかまったくわからないことが多い。寝る時間に睡魔に耐えきれなくなったときは、入眠していく自分がわかる。睡眠にいざなわれる瞬間がわかるので、毎日これを体験したいと思っているのだが難しい。特に夜更かしをして目だけが覚醒してしまったときは、目を閉じれないほどに起きて意識がある状態。そこからどうやって眠りに入ったのだろうか。不思議だ。

最近、やたら夜更かしをしてしまうときが多い。目だけが冴えている日が多くなっているような気がする。それだけ、さまざまな画面と向き合っているということだろうか。ビデオ整理をしているときだけではない。暇を持て余しているときのSNSサーフィンでも同じことが起こる。ちょっと時間を持て余した隙にSNSを見てしまうから、目が覚めてしまうのだ。昼間に何もしてこなかった分、体力は余っている。それが故に起きられるのだが、明日に響くことは明白。なんとかして寝ようと思っても、やることを思い出して動き始めるから寝られない。案の定、翌朝は眠い。体が重い。顔はむくんでいる。すべて昨日のことが関係しているのだと後悔をして仕事の準備をする。次こそは計画的に動こうとしているのだけれど、なかなか思い通りには行ってくれない。また時間を持て余して、後悔して、寝る前に焦って。おとなになってからでもずっと、このサイクルが起きてしまう。

◎          ◎

休日は、翌日も休みであれば日付を超えるまで起きていることがある。まだ大丈夫。明日ちゃんと起きれば良い。そう言い聞かせて、寝るギリギリまで時間を使ってやり残したことを片付けていく。仕事をしているときもある。次の日が休みという余裕があるからなのか、入眠はスムーズであり、朝もいつもと同じ時間に目が覚める。

予定していなかった夜更かしをして、疲れているのに覚醒している目。翌朝の疲労を知っているからこそ体を休めたいのに休まらないサイクルは、何度経験しても慣れない。もっとちゃんと、日中に仕事を片付けられる自分になろう、そう思う瞬間でもある。意識すれば変わるだろうか。いや、変わりたい。変われると思ってこれからを過ごしていこう。