私のお守り。このテーマを聞いて直ぐに思いついた。それは勿論、「本」である。前に送ったエッセイにも本について書いてしまったが許して欲しい。それほどに私にとっては大切なものなのである。

私にとって本とはその著者自身の人生だと思う。1人の人生を本を読むことにより触れることが出来ているのだ。

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私が本を本格的に読むようになったのは高一の終わりごろだと思う。ある日現代文の授業で自分の好きな本についてクラス全員に発表し、その中で1番良い発表者を決める。という授業があった。しかし私は元々本は好きだが色々なジャンルの本や最近の本はあまり読んでこなかった。そのため何を発表して良いのか分からなかったのだ。

しかし逆にみんなが読まなそうな本を勧めてみようと思った。そこで堅苦しく読まず嫌いしているような夏目漱石の『こころ』を発表したのである。勿論、内容など喋っても話が長く、引きつけることも出来ないだろうと思った。そこで昔の文学を読むかっこよさについて発表した。これが良かったのかは分からないがとても笑ってくれたりみんながこちらを見ていてとても嬉しかった。

その結果もあり投票の末、私の発表が1番になれたのだ。

終わったあと先生が、「中二の頃から夏目漱石をここまで深く味わえるのは凄い。これからも沢山本を読んで、沢山の経験を自分のものにして欲しい」と言ってくれた。

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この言葉から私は沢山の本を読みだした。太宰治、坂口安吾、澁澤龍彦など。1日1冊、学校がある日は毎日読んだ。色々な考えや見方、人生、人と人との繋がりが見えてとても楽しく嬉しかった。

そして私が特に好きだったのは坂口安吾。代表作として『白痴』『堕落論』などがある。私はそれまで病気のせいで暗く苦しかった。しかし安吾に出会って何故か肯定された。安吾がそう言うなら、堕落しても大丈夫。落ちきることなど人間にできやしない。そんなふうに思えてきた。どんだけ死にたくても安吾が死んではいけないと書いていたから、苦しくて夜に涙を流しても死にきることなどできなかった。また、遠藤周作に出会ってキリスト教的考えを知ることが出来た。そこでもまた自分の生き方が影響を受けるような沢山のことを学べた。両者ともに考え方が全く異なるが、だからこそ私に響いたんだと思う。心から出会えて良かったと思う。

それから私は本に答えは書いていなくともたくさんの人生、苦しみ、悲しみ、愛、戦争、など沢山の経験を知ることが出来、それが私の人生に繋がっていくことになると気づくことが出来た。そして私も人に与えられるような人間にならなければと思う。私はこんな文豪のように立派にはなれないけれど、自分の経験を話したり、文豪から学んだことを実践し周りの人の幸せに貢献出来たらこれ以上の幸せはないだろう。それを忘れないためにも、いつも本を持ち歩いている。学校に行きたくない時には寄り添ってくれるような本を持って、通学の電車で読み、大切なものをちゃんと思い出して。

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悲しい時には鼓舞されるような本を選び勇気を貰う。

今も苦しいことがいっぱいあるけど、それでも前に進まなきゃと思えるお守りが私にとっては本なんだ。沢山の方の人生に触れ、学び、共感することで苦しさも悲しさも乗り越えて行けると思う。 

ここまで読んでくれた皆様へ。少しは本を読んでみようと思いましたか?もし良ければ是非読んでみてください。そして私とお話しましょう。お願いします。お友達になってください。

もしまたこの文が掲載されたとしたら、前に書いたエッセイも読んでいただけると嬉しいです。私の執念が詰まっております。本を読んで欲しい。ただそれだけの思いが。