SNSが普及したおかげで、よく会う人から、もう会わなくなった昔の同級生まで、現在の動向を知ることができるようになった。タイムラインに流れる華やかな写真たちに、羨ましいなと思いつつも、それがその人の全てでないことを私は知っている。仲が良ければ良いほど、その投稿は、周りに見せたい自分を映し出していることがわかる。どこかの小説で聞いたことのある、SNSに載せていない方がむしろその人の本質を表すというフレーズは、言い得て妙だと思う。

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そう思うと、SNSのタイムラインに、どの写真を、どんな時に載せているのか分析し、その人の深層心理を探るのも、醍醐味のひとつだ。

私のとある友人は、結婚が決まってから、友人との写真が若干増えた。元々パートナーの写真を載せる人ではなかったが、友人と旅行に行ったり、飲みに行ったりといった投稿が増えた気がする。彼女とは長い時間を過ごしたわけではないものの、それなりに長い年月交流を続けており、それなりにどんな人生を歩んできたかを知っている。だから、彼女が友人思いであることも、旦那さんと出会う前に友人たちに助けられたこともよく理解している。

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順番が来たように、私にも彼女から旅行のお誘いが来た。

「海外に行ったことないから、行ってみたい」といった話だった。彼女に海外によく行くことを言っていなかったが、おそらく、SNSでの私の投稿をよくみていたのだろう。SNSに写真をあげるのも悪くないなと思った。彼女からの海外のお誘いは、なんとなく、信頼されている気がしてすごく嬉しかった。

  彼女の旦那さんも理解のある人で、海外行ってくるね〜と言ったら二つ返事でいいよ、と言う人だった。昔ながらの先入観を私自身が持ってしまっており、結婚した人を旅行に誘いづらい。本当に良い人と結婚したな、と思った。

彼女との海外は楽しかった。私は通訳をして、彼女は写真を撮り続けた。夜景の見えるバーでお酒も飲み、たくさん会話を交わした。その写真をSNSに投稿することで、旅行は終わりとなる。もちろん、反響もよかった。

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海外から帰国後、彼女のSNSへの写真の投稿が若干変化した。旦那さんとのツーショットの写真が増えたのだ。

もしかして妊娠した?

この根拠のあるかないかなんともいえない直感は、半年経って正しかったことがわかる。彼女から、新しい命を授かったとの連絡が来た時、やっぱりと思った。ちょうど、2人のツーショットが増えた頃に授かった子。そう思うと、友人ご夫妻がまだ気づく前から私はなんとなく察していたことになる。我ながら勘がいいなと、感心すらした。

彼女の投稿にもちろん妊娠の旨は載ってない。実際は飲んではいないのであろう、お酒のような写真すら投稿されている。ただそう言われると確かに、旦那さんのツーショットや、親戚との写真が多い。彼女の投稿の裏に隠された、微かで暖かな本音を見るたびに、私はおめでとう、というとても嬉しい気持ちになる。