私のおまもりは、さくらももこさんのエッセイ本である。彼女の本は人生のバイブルと言ってもいいほど、私の人生に影響を及ぼし続けている。「ちびまる子ちゃん」の漫画は面白さや絵の緻密さで読者を物語の世界に引き込む素晴らしい魅力を持っているが、私は彼女のエッセイも大好きだ。
なかでも、一番のお気に入りは「ひとりずもう」というエッセイだ。さくらももこさんが漫画家になりたいと夢を抱いてからデビューをするまでの苦難や喜び、青春時代の些細な記憶に、私は毎度懐かしい気持ちになる。「うんうん、こんなことあったよな」と思える飾りのないまっすぐな表現に、読むたびに涙し、そしてその文章の上手さに驚いてきた。

さくらももこさんのイラストと言えば、あのほんわかとしたタッチや、かわいらしい色使いが魅力であるが、漫画家を目指していた当初は少女漫画のキラキラした目の女の子のイラストなどを描いていたという。
ある日、少女漫画のようなテイストは向いていないと方向転換をし、今までの経験をエッセイ漫画にしたらどうだろうか?という発想がめぐったことがデビューのきっかけになったというお話を読んだことがある。

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さくらももこさんが好きすぎるあまり、私は先日彼女の出身地である静岡県の清水市に旅行に行ったのだが、そこで私が生まれるずっと前、ちびまるこちゃんがいろいろな人生を送ってきた清水の街並みを見て胸がきゅっと苦しくなった。

「そうだ、エッセイ漫画を描こう」と決意したとき、まるこちゃんは自分の家のお風呂場がキラキラと輝いて見え、その足で近所の文具屋に向かったという。その道中でみた巴川のきらめきは、一生忘れないという描写を読んで、思わず共感した。

何かを始めようと決意するとき、その方向が多分間違いじゃないと確信するとき、世界がきらめいて見えるのは全人類共通なのかもしれない。

私はその旅行で現在も変わらず流れている巴川を見て、今年こそは何かに挑戦しようと思った。

きっとさくらももこさんも希望だけではなく、様々な不安や葛藤を抱きながらこの景色をながめていたのだろう。「漫画家になりたい」という夢を自分の中でめいっぱい膨らませて、それを表現するということはどれだけ勇気がいったことなのだろうか。誰もが憧れる職業に、あきらめることなく挑戦し続け、デビューを勝ち取るという彼女は本当にかっこいいと思う。

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「夢を明確にする」ということは、彼女のエッセイや漫画から学んだことだ。

ただ漠然と「漫画家になりたい」と思い続けているだけで、果たして応募をしたのか。すこしでもデビューにつながる行動をしたのかと考え、りぼんに漫画を応募するようになったというお話を読んで、私も感化された。

私自身、現在やりたいことであふれている。まず一つ目は、編み物のハンドメイドショップを開きたい。そのためには、去年の暮れから始めたyoutubeを継続し、みんなにもっと見てもらえるようなハンドメイド作家になることだ。

夢を明確にするために、日々一歩一歩できることを達成させていくために、週単位でのスケジュールを決めることも習慣づけていきたい。どんなことも果てしない道のりに思えるが、今目の前の一歩にどれだけ力を注げるかが肝心だと気が付いたからこそ、日々目標を見失わずに進んでいきたい。

そう思えるさくらさんの本は、私の一生のおまもりだ。