Twitter、Instagram、YouTube、Pixiv、エトセトラエトセトラ。面白いと思うもの、惰性でみているだけのもの、いろいろあるけれどスクロールの手が止まらない。フリータイムのほとんどをスマホと過ごす私は、立派なスマホ中毒である。

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スマホとの出会いは高校生のときだった。夜な夜な「ツムツム」をプレイする日もあったけれど、今思えばかなりプラトニックなおつき合いだったと思う。

しかし、そんな関係は私が大学生になってから激変した。大学生活がコロナ禍にスタートしたことをきっかけに、私はスマホと蜜月時代を過ごすことになる。新しく始めたスマートフォンの女性向けアプリに推しができたことで、それは加速した。Twitterを始め、Pixivを知り、世間で二次創作と呼ばれるものの魅力に撃ち抜かれた私は、推しを求めて活字の海に漕ぎ出した。

そして、溺れた。

日がな一日、読み漁る。目にしている活字の量は高校生のときよりも増えたはず。だが、読んでいるものは人様に言えないものばかり。しかし、びっくりするほど中毒性が高い。面白い。二次創作読みたさに別のゲームにも手を出した。そのゲーム自体のストーリーを読み込み、二次創作の小説を貪り読み、その合間に息抜きとしてTwitterのつぶやきやYouTubeのショート動画を見る。

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そんなこんなで、気づけば大学四年の秋だった。卒業論文の執筆期間である。しかし、私は三年間と半年続けてきたこの習慣を止められない。「人間として駄目な生き方だ」と思っても、欲に負けて四角い板に刺激を求め、怠惰に時は過ぎていく。

というわけで、木を植えることにした。正確には、スマホを放置した時間分だけ、アプリ内に木が生えるというスマホ依存防止アプリを購入した。失敗すると木は枯れてしまう。いろいろな種類の木があり、コインを貯めればストアから様々な草花や木をゲットできる。

アプリの強制力は自分で調整できる。単にタイマーやストップウォッチを動かすだけのモードもあれば、他のアプリに移動すると自動的に木が枯れてしまうモードもある。前者のモードでアプリを使っている私だが、不思議なもので木を植えると自然とスマホから手が離れる。触るとしても音楽アプリがほとんどで、文頭に羅列したアプリからは遠ざかる。

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時には、我慢が利かず「少しだけ」と自分に言い訳をした上でしっかりスマホを使うこともあるが、それもご愛敬。基本的には効力を発揮している。卒業論文が書きあがったのはこのアプリのお陰といっても過言ではない。

そして、私は今でもこのアプリを愛用している。スマホから離れると、家事や読書が進む。傍から見れば大して変わらない変化だが、活動的な人間になったような気になれる。QOLがワンランクアップする。

特に気に入っている使い方は、夜、寝る前にストップウォッチをかけることだ。卑劣な使い方だと思うが、寝る前にダラダラとスマホを見る時間が減り、アイテムは溜まる。まさに、一石二鳥とはこのことである。さらに、寝るときには、記録につける識別タグを「勉強」や「スマホ触らない」から「ねろ」に変更する。何を隠そう「ねろ」は「寝ろ」であるのと同時に「ネロ」という私の推しの名前である。それだけで機嫌よくベッドに向かえるのだから、現金なものだ。

とはいえ、寝る前にダラダラとスマホを触る楽しさがなくなるわけではない。もちろん、ゲームをプレイし、二次創作を読み漁る楽しさも捨てがたい。それでも、木を育て、少しずつ森を広げながら、スマホの外に目を向ける範囲も広げていきたいと思う。