今回は、「道」と言うには大袈裟かもしれないが、私の読書体験の中で起こった「選択」について話していきたいと思う。
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小学生の頃から大の読書好きだった私。
学習塾で国語を勉強していたというのも大きな要因だったが、小学5年生の頃にさらに読書を加速させる出来事があった。
というのも、小学5年生にて、仲の良い友達全員とクラスが離れ、教室で孤立してしまったのだ。
最初のうちこそ、少しでも輪に入ろうと色んな子に話しかけたりしていた。
しかし、すっかり疲弊してしまった私は周りに話しかけることを諦め、休憩時間はもっぱら読書をして過ごすようになったのである。
クラスでの孤立は辛かったが、元々読書は嫌いではない。
読書をしながら有意義な休憩時間を過ごせればそれはそれでいいやと開き直り、文字通り立派な本の虫が誕生した。
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ところで、小学校上級生が読む本と聞いて、世間の方々はどんな本を思い浮かべるだろうか。
私と同世代の女性なら、「黒魔女さんが通る」「若おかみは小学生!」「妖界ナビ・ルナ」「らくだい魔女」シリーズあたりを挙げるのではないだろうか。
本の虫だった私は、当然そのあたりの定番人気作も読破していた。
しかし、特にこれといったジャンルのこだわりがあるわけでもなく、図書館で目についた面白そうだと思った本をとにかく手当たり次第に選んで読んでいた。
そんな手当たり次第に選ばれる本の中には、小学生の女の子が好きそうな、ピュアでとびきり甘〜い恋愛小説もあった。
面白ければ何だっていい!の精神で恋愛小説も嗜んでいた私だが、それは、明らかに「The恋愛小説」というような可愛らしい題名の小説を読んでいた時のことだった。
教室で静かに読書する私の目の前に突然立ちはだかった、クラスの中心的な男子グループ。
私の手の中にある小説を見た瞬間、男子たちはこう言った。
「え〜!お前こんなの読んでるの?ウケる!」
小学生男子の子供っぽさなんてこんなものだ。
題名だけで恥ずかしがって恋愛小説も読めないようじゃまだまだ青いな。
大人になった今だからこそこう思えるが、当時思春期真っ只中の小5の私は、その言葉に酷く傷つき、途端に自分が恥ずかしい存在のように思えてしまったのだ。
気まずそうに本を隠す私の挙動に味をしめたのか、その日から毎日毎日、私が読書しているところに現れ、わざわざ「おい、今日はこんな本読んでるぞ〜!」と揶揄うようになった男子たち。
あまりの辛さに担任の先生に相談すれば、程なくして男子のその行為は無くなった。
しかし酷く傷ついた私は、孤独を癒す大事な手段であった読書ですらも怖くなり、好きな本を選べなくなってしまったのだ。
「男子たちに揶揄われない、子供っぽくない少し難しめの本」という考えで本を選ぶようになり、純粋に読書を楽しめなくなった私。
今でこそ、その苦しい時期に選んで読んでいた本も面白かったし、きっかけはどうであれ色んなジャンルの本に触れることができて良かったと思える。
しかし「好きな本を選んだら揶揄いの対象になった」という経験は、やっぱり何年経っても苦い思い出である。
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大人になった今では、堂々とカフェで読書できるようになるまで成長し、周りの目を気にして本を選択するなんてことは無くなった。
人前で読むのはちょっとなーなんて思ったらブックカバーをつければ済む話だし。
そもそも人が好んで読んでいるものにケチつける方が低俗だし。
そんな気持ちで、自由に読書を楽しめている。
だからこそ、あの時の私に伝えてあげたい。
貴方の選ぶ本に何の罪なんてない。心惹かれる本を選んで楽しめる自分自身と、そんな本との出会いを誇りに思って、と。
苦しみながら本を選ぶなんて、もう絶対にしたくないから。
これからも私は自分の選択を信じて、楽しい読書ライフを築いていきたい。