私がまだ幼稚園生だった2000年代、世間ではCanCam、Rayなどの赤文字系雑誌が一世を風靡しており、エビちゃんや押切もえ、一流大学に通う女子大生読者モデルたちが女の子の憧れとして輝かしく君臨していた。

私はそのころから、「女子大生になりたい」という夢を抱くようになった。きれいなロングヘアを緩く巻き、スナイデルのひらひらしたワンピースを着て、1本のボールペンと口紅、財布を小さなカバンに詰めて、春色のハイヒールを鳴らし、長い長いカスタムがつづられたスタバのカップ片手に、勉強とバイトもそこそこにこなしつつ婚活にいそしむ優雅なキャンパスライフを送るんだと心に決めていた。

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そして十余年の月日が流れ、私は女子大生になった。

伸ばそうと決めていた髪は何を思ったかボブになっている。服はスナイデルはおろか、駅ビルの服ですら高くて、通販で買ったプチプラを着回している。小さなカバンは意地で達成してはいるが、その実、中はパンパンで、一回り大きいカバンにしたほうが効率がいい。

それに、私の通うこの激坂大学では、ハイヒールなんか履いていられない。スタバに関しては、「無脂肪乳変更、エクストラホイップ」という結果なんの意味もないカスタムだけで戦っている。

勉強とバイトはそこそこでは生きていけないことに気づいてしまった。婚活は女子大生のうちに済ませたいが、よく考えたら就活前にすることではない。

そうしてあの日憧れた女子大生になれていないことに気づいた私は、過去の私のためにこのエッセイを書いている今日だけは、理想とするキャンパスライフを送ってみることにした。

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朝、デロンギで淹れたエスプレッソとシュガートーストを食べながら、インスタを参考にのんびり今日の服装を考える。「OOTD」と検索すると、海外のおしゃれなファッションがいくらでも学べる。素晴らしい時代である。しばらく迷って、黒いキャミワンピースに淡い青色のシャツを羽織った。無理をしてヒールなんかも履いてみた。

昼は、チキンサラダとスタバのホワイトモカ(例によって、無脂肪乳変更、エクストラホイップ)を食べる。もともと小食なので量がちょうどよかったし、なんかおしゃれな気がしたので写真も撮ってみた。
授業後、友達とレモンウォーターを飲みながら課題を進め、夜は別の人とTOEICの勉強をした後イタリアンを食べる。友達と遊ぶだけではなくちゃんと勉強もする、実にキラキラ女子大生っぽい。

家に帰って、任されている家事を済ませ、バスソルトを入れて半身浴をする。普段はやらないスクラブやトリートメント、美容液も使ってみた。魅力あふれる女子大生は自分磨きも怠らないのである。
寝る前はスマホを触るのをやめて、読書をしてみた。好きな芸人が書いた日記本なので、なかなか下品極まりない内容だった。これに関してはあまり女子大生ぽくなかったと思う。

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こうして「私の考える女子大生ライフ」を送ってみて、私は、少しだけ背伸びした暮らしを送ることが好きなんだと気づいた。

「女子大生」という漠然としたものになりたいというのは、きっと女子大生という存在が、キラキラした憧れをぎゅっと固めたものだと感じているからなんだと思う。私はまだ女子大生を諦めていない。明日は、新しくベンティに挑戦してみようと思う。