私は、生粋の東京生まれの、小さい時から山手線沿線沿いに住む、いわゆる都会っ子。
ところが、数年前に、一度も訪れたことのない地方(山陰地方)に転職をした。

それまでは東京で上司も欧米人の、高層ビルにあるグローバルな環境で英語で仕事をしてきた。ところが、どういうわけか、使っていた英語も、生まれ育った東京という地も手放し、単身で場所もいまいちよくわからない西日本のとある県にやってきた。
もちろん、そこは「ローカル」だった。

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知り合いの紹介で転職したにもかかわらず、現地の職場の人間関係やしきたりに慣れるのに3ヶ月以上かかった。

幸い転職先は、地方だけれども「協調性」ではなく「協働性」というのを大事にするフラットな風土だったので、それぞれが言葉にしない、実は心の内で不満がつのっていたりする「同質的集団」とは違った。皆、比較的、喜怒哀楽はオープンだし、新しく来た人もいったんは受け入れようという、そんなスタンスの人が多かった。
ただ、都会から、欧米系の外資系から転職してきた私からすると、この会社のローカル職員たちは、皆仲が良すぎだと感じた。

仕事が終わったら、とにかく飲み会が好き。

転職して2日目の若手の恋愛事情も、親の卒業大学も気になるのか、どの人からも必ず聞かれる。たまに、「君はもっと集団につっこめ(距離感があるから)」と、自然と自分を変えることを強制される。

私は人と距離を縮めるのに時間がかかるタイプだし、なんでもかんでも自分や家族の話を、広く誰にでも共有したいとは思わないタイプだ。多国籍なメンバーがおり、「他人は他人。自分は自分」の個の尊重でよくも悪くも成り立っていた前職時代からすると、ローカルは、他人と自分の境界線が曖昧で同質的なのだな、とこの時に思ったりした。

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そんなこんなで、東京時代は、性別も年齢も国籍も宗教も関係なく、個人として集団の中で過ごしてきたので、あまりジェンダーギャップというものも感じてこなかったのが正直なところだ。
ところが、転職して地方に来て、さらに全国へ地方営業をすると、確かにジェンダーギャップの存在を認識する。

例えば、全国の人口5000人規模の町役場へ出張をすると、役場で役職についている女性の方に、まずお会いしたことがない。こういった町では、女性の方は、子供3人程度産み、一次産業の農業や漁業の手伝いをしたり、カフェでアルバイトしたりするそうだ。
いわゆる東京でいうパワーカップルやダブルインカムといった風習は、あまり馴染みがないようだ。

そういったライフスタイルがそうさせるのか、実際に数人女性にお会いしても、「内助の功」というような、どちらかというと縁の下の力持ち的な控えめで母性的な方が多い印象だ。お話を伺っていると、ご本人たちも「バリバリ働きたい、自分で稼ぎたい」というよりも、「家庭や組織の誰かの役に立ちたい」と思っていらっしゃる方が多い気がする。

これはこれで、プレイヤー(個人)の世界で競争的になりすぎない、各々がフォロワーシップを持ち合わせた調和的で全体的な素敵な世界で、組織だなと思った。