私はスポーツが嫌いです。
理由は、スポーツをしている人特有の「強い雰囲気」に馴染めないからです。

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学生時代に属していたのがソフトボール部だからというのもあるかもしれません。

ソフトボールはほぼ野球と一緒で、性別を超えたパワーをもつ人が多く集まる種目だから。皆がそうであるわけではないのですが、全体のノリが何となく合わないのです。多くの選手が備えている「背が高い」「パワフル」「くよくよしない」といった要素を私は持っていませんでした。

だから、「本音で向き合っている」テイで互いを傷つけ合っているように見えたり、「仲間を思った声かけや指摘」が「強くてきつい口調」に感じてしまうのです。
今の言い方きつい、と思えば言われたのが自分でなくても傷ついてしまうことが何度もありました。

更に困ったことに、私は友達が割と多いのに弁当を一人で食べたくなってしまうような、「仲間とグループ行動ができる」能力が低めだったのです。女子にとってはこれが致命的です。グループで固まっていると、仲間意識が過剰になり、1人が成長しないように足を引っ張り合って身動きが取れなくなる感覚に陥ったことがありました。まあその強固な仲間意識が修学旅行のグループ分けの時などはすごく助かるのですが。

クラスで一緒に行動する友達も、何となく部活のメンバーとは放課後だけ顔を合わせるという感覚でした。

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背が低くて非力な私は、それでも周りに劣らぬよう、誰よりもバットを振り、誰よりもグローブ捌きを鍛えました。その甲斐あって、中学3年生になる頃には殆どの試合で結果を出せるようになり、その努力を仲間にも認められてチーム内で恵まれた待遇を受けていた自覚があります。

実際にチームメイトと喜びを分かち合った瞬間は何物にも代えがたい宝物です。

スポーツのコミュニティにいても結構仲良くできることがまた厄介なのです。だから一見すると周囲と協調してるように思われていたでしょう。自分自身もそう思っていました。成人する頃までは。(成人するまで自分の性質を大いに勘違いしていたことに対する呆れを込めて、「厄介」という表現をしました)

就職活動の時期に性格や適性を見極めていく中で、自分はチームで何かを成し遂げるよりも実は一人でじっくりと考えて取り組むほう方が好きで、人と比べない自由な生活を求めていることが判明したのです。

これまで、どうして部活にいくのが緊張していたか、合点がいきました。そこに所属していた時期は考えないようにしていただけで、繊細な私は強気な集団にいると浮いた感じがしていて疲れてしまっていたのです。

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社会人になって、最近はマラソンを始めています。理由は、全身を健康的な色黒にしたいという希望があるからです。ちなみに、テーマからはやや脱線しますが、女子は色白の方がかわいいし美人だ、というような風潮に私は強く疑問を覚えます。これもまた好みの問題だと思います(これは昔気になってた人が自分よりも色白だったことによる美白女子への僻みです)。まだレースではそんなに速くはないけど、楽しいです。

でも、この数年、趣味をマラソンと公言していたら、同世代の女子が「一緒に走ろう」
と誘ってきます。たまには誰かと走るのも悪くないか、と思ったのも束の間、何だか満足感が半減してしまい、困っています。ペースの違いの問題なども相まって、これはこれで疲れるのです。

そんなこんなで私はスポーツが嫌いです。
しかし、ここまでの文章の中で、ツッコミどころが満載だったかもしれません。
何だかんだ、ソフトボールも楽しんだし、今もスポーツをしています。

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ほんとは私、スポーツが好きかもしれません。
ウソをついたとはまだ認めません。

でもたぶん、スポーツが嫌いなんじゃなくて、人と密に関わるのがあまり得意じゃないんだと思います。あと単に比べられるのが苦手なんです。他の人のほうが優れていたとき、焦るから。

ただ、「人に媚びないサバサバ」や「正直」を「無礼」と履き違えないような人でありたいです。

スポーツは素晴らしいものだと思います。
球技に打ち込んだ学生時代に培われた「努力を継続する強い意志」は今後もずっと引き継がせていただきます。
少し変わった、でも繊細な優しさをもつ一匹狼を目指して生きていきます。