私は最近、猫を飼い始めた。
現在3ヶ月のアメリカンショートヘアの女の子。

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実はペットを飼うのはこれが人生で初めてのことだ。
幼少期の頃からペット不可の物件にしか住んだことがなかったので、縁がなかったというのが正しいかもしれない。

きっかけは夫が大の猫好きで、同棲を始めた頃から飼いたいと言っていたことだ。
元々夫は、実家で猫を飼っていた。

夫が人生で初めて飼ったのもアメリカンショートヘアだった。
小学生の頃にペットショップで出会ったアメリカンショートヘアのあまりの可愛さに
「どうしても飼いたい!!」と泣き喚き、根負けしたご両親が購入してくれたそうだ。
その猫がいなければ自分は荒みすぎて今とは全く違く人生になっていたかもしれない、という程ペットが夫の心の支えになっていたようだ。

その話を聞いてからは、私も心の支えだった推し活を卒業した今1つの人生経験としてペットを飼ってみたいと思うようになった。

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結婚後、ペット飼育可の物件に引っ越してからは定期的にペットショップを見たり、ブリーダー検索をしてみたりと、猫を飼う為に情報収集をしていた。
探し始めて数年、ついに1匹の猫に出会った。
とても可愛いアメリカンショートヘアだった。
その子の写真を見せると、「これは運命かもしれない」と夫はすぐに猫舎への見学を申し込んだ。

実際に会いに行くとホームページで見た写真通りのとても可愛らしい子で、猫舎ではお昼間にも関わらず元気に走り回って人懐こい印象だった。
その様子に夫はまさに「目がハート」の状態、にやけ切った顔で「可愛すぎる」を連呼していた。

私はというと実際にこの子を飼うのかも、と実感した瞬間に「飼うなんて私には無理だ」という気持ちが芽生えていた。

これまでペットを飼った経験がなかった為、自らの手で命を育てる、という認識が甘かったのだ。こんなに小さな命を自分が背負うなんて、と責任の重さをひしひしと感じた。

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私のそんな気持ちを見透かしていたのか、「本当に飼うかどうかは君が決めていいよ」と夫は言った。

そう言われて私は少しの時間悩んだ結果、飼うことに決めた。
将来的には子どもができたらいいね、なんて話もしていたのでペットの命すら守れないようでは人間の子どもなんて尚更無理かもしれないと考えたのだ。

それでも不安な気持ちはあったが、猫を飼うことを通して私が成長する機会にしよう、と決めた。
表向きにはそんなかっこいいことを言いながらも、最終的にはキラキラした瞳で「かわいいよね」と言う夫の姿に根負けしたのも事実だ。

ほとんど準備もしていないまま見学当日に連れて帰ることになった為、飼うことを決めてからはとても慌ただしく時間が過ぎていった。

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最初はお世話の仕方どころか、触り方すら分からなかったがインターネットで調べたり、夫に教えてもらいながら少しずつ覚えていった。

家に来た時は生後2か月半程度の子猫で、最初は人間が見ていないとごはんは食べない、トイレも行かない、ご飯を食べたらとりあえず人間の膝に乗りたい、と付きっきりのお世話が多くその要求に応えることで毎日が精いっぱいだった。

最初は風邪を引いたり、病院のお世話になることも数回あり心配事も多かったけれど気付けば生後3ヶ月を過ぎ、子猫も順調に大きくなり少しずつ自立してきた。
まだたった半月の付き合いだけれども、私も今ではどんと構えて自信をもってお世話している。

そして思わず毎日たくさんの写真を撮ってしまう程には溺愛している。
新しい家族が増えたことと、また少し新しい私になれたことがとても嬉しい。