夏にやりたいこと、それは「仕事」である。私は仕事がしたい。仕事をしなければならないのだ。その理由は3つある。

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まず1つは、現在無職であるということだ。昨年末に前の職場を離れた。退職は結構ギリギリで決まった事だったが、なんとか次の職場も決めることができた。年明けから働かせていただくはずだった。

いよいよ数日後に初出社だと意気込んでいた最中、熱を出してしまった。39℃を行ったり来たりする2日間を過ごした。病院で診てもらったが、ただの風邪だった。こんな高熱を出したのは10年ぶり。生焼けのやきとりを食べて食あたりをおこした事があった。その際に40℃を超える熱も出た。私は滅多に熱が出ない。風邪はしょっちゅう引くけど。久しぶりに熱が出て体力が奪われまくった。ちょっと歩くだけで疲れるし、呼吸も浅くなるし、まだ咳も出る。

こんな状態では到底労働などできない、と思い初出社の日にちをずらしてもらった。一向に戻らない体力と、出社日を度々ずらしていただいた後ろめたさから、退職を申し出た。まだ1日も働いてないのに。

その後、もちろん職探しをした。なかなか採用に至らない。そんな中、ぎっくり腰になった。人生初のぎっくり腰。ぎっくり腰と診断される前、1人で、「ヘルニアだったら手術?そしたらまた身動きが取れなくなるな…」などと妄想を繰り返していた。しかし診断はぎっくり腰。湿布と痛み止めを貰った。あとは自然に治るのを待つだけだという。1週間は痛みとの戦いだった。先生の言うとおり自然と痛みは消えた。だが「またなったらどうしよう」という不安から、行動するのが怖くなった。

そんなこんなで半年が経ち、現在無職。一重に私の怠慢である。風邪とか怪我とか、言い訳にすぎない。なにもしてない時間が楽でよかった。いわゆるクズである。クズ脱却のため、この夏は仕事に注力したい。

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2つ目の理由。秋に好きなバンド(2組)のツアーがあることだ。自分で書いていて呆れる。金無しのくせに推し事はしたいのか。まずはお仕事をしろ。だから仕事がしたいのだ。

ツアーということは全国を回るということ。かつて「全通」をしていたこともある私なので、行かない選択肢は正直言ってない。だが全通をする余裕がないのは目に見えているので、旅行も兼ねて行きたいところに出向きたい。旅行なんかしてる余裕もないのだが。

片方のバンドは、久しぶりの全国ツアーをしてくれることになった。行かない選択肢はない。もう一方のバンドは、私が去年行く予定だったのに行けなくなってしった場所があって、それをリベンジしたいから行く。そこじゃない土地には行ったけど、そこでのライブをこの目で見たい。我慢という言葉が通用しない私を、私が冷ややかな目で見ている。

ということで、お金が必要である。チケット代に加え、交通費やホテル代、食事代、その他諸々、資金が必要である。仕事をしたい。しなければならない。良い子は真似しないでほしい。

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3つ目の理由は、「暇に飽きた」である。忙しい時は暇が羨ましく、暇な時は多忙が羨ましくなる。あるあるだ。無い物ねだりというやつだ。約半年、暇を過ごしてきた。いい加減飽きてきた。そういえば私はこれを繰り返している。何年か前もこんな感じだった。暇に飽きたから働かせて、と言って働かせてもらえるほど甘くはないこともわかっている。「働ける」ことがどれだけ幸せなことか。暇は幸せではなくただ楽なだけ。楽はたまにでいい。人生というのはうまく出来ている。人間とはおもしろい生き物である。それっぽい中身のない言葉をつらつら言えるのも暇ゆえのこと。

暇に飽きたという言葉も、ある人にとっては癪に障るだろう。半年後、このエッセイを読んだ自分が腹を立てていますように。そのために私は、この夏、仕事に邁進する。はず。