大学進学率が40%に満たない平成初期に生まれ、約55%に達した平成後期に進学し、遂に60%に達した令和にライフイベントの波が高まるアラサー世代。

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高校では、学びたいことがなくてもいいからとにかく大学進学することを先生たちに薦められ、「これを学びました」と就活で言うためだけに大学でそれらしき取り組みをする。
就職後は大学時代の学びを活かせているとほとんど実感することなく、学歴だけで判断される生活を送る。
バックパッカーでアジアを周遊した友人が、退職してワーホリで再び世界に出ていく姿があるものなら、鼻で笑いながら「あの人は変わらないね」と、どこか棘がある感想を周囲が漏らす。
あれ、確かあなたたち、大学時代は彼女と一緒にアジアを周遊していなかったけ。
給料が下がってもいいからと好きな音楽関係の仕事へ転職した友人には、「将来はどう考えているのだろう」。
えっと、あなたが学生時代に「今月も金欠だー」って笑いながらライブ参戦していた同担の人の話をしているのだよね。

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わたしたちの学びの先にあるものは、画一的に幸福を測る能力だったのか。
転職ばかり繰り返しているのはあなたの問題で不幸せ。フェミニズム思想が強い人は承認欲求おばけで幸せを遠ざけている。30にもなってミニスカートは痛いし幸福の象徴である結婚に繋がりにくくさせている。
この価値観がわからないの?それは「まだ」大人になりきれていないからじゃない?周囲を見て学ばないと。
ふう。わたしはこんな価値観を身につけることが、学びの蓄積だと思いたくない。

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現在、わたしはアダルトグッズ関係の仕事をしている。
いくつかの転職・修士取得後に見つけた「本当にわたしがやりたいこと」がこれだった。
自分の知らない部分を知るために様々なことに挑戦し、失敗し、場所を変えた先にあったものだった。

例えば、東京から夜行バスに乗り込んで島根へ行くことで学んだものは、出雲大社の荘厳さだけではなく、日本の広大さだった。
大学でのレポート課題では、単位取得には難題なタスクをこなす必要性を知るだけではなく、自分の興味分野以外の分野を覗くことでブラッシュアップできる学問の奥深さに気づいた。
フリーマーケットの出店では、ユーズド商品のリサイクル意義と、独創的なセット販売を行うことで客層が変わることへの驚きを得た。

これらは、採掘ゲームよろしく少しずつ明らかにした方向性であり、成長とともに起こる変化を受け入れたものだと信じている。
わたしは現在の職場が居場所だと感じられているが、周囲には性を仕事にすることへ嫌悪感を示す人がおり、大学院にまでいって…と落胆する人もいる。

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だからわたしは、わたしの仕事に疑問を持っている人たちの声に耳を傾ける。彼らの考えを知ろうと努める。リスペクトを込めて。
語るべきストーリーが、言葉が、すべての人にはあり、耳を傾ける必要のない人など存在しない。
そして、そのストーリーでレッテルを貼ることなど誰にもできないはずだから。

これが批判なのか、はたまた否定なのかを明らかにしていく。
なぜなら、環境要因に影響を受けやすいとされる幸福の尺度の正体を見破る視点が「学び」の先にあると思うから。
日本の広大さは、東京にだけ住んでいたら気付けなかった。
自分の好きなものだけを参考文献にしていたら、隣の学問から発せられる異なる視点に気づけなかった。
個性を出したセット販売をしなければ、予期できなかった人のニーズに気付けなかった。
これだけ色んな世界があるのだから、幸せの定義が異なっても何の不思議もない。

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わたしの大好きな話がある。
彼女は短大卒業後に、マンホールを製造する会社に就職した。
4年制大学に通う周囲は、彼女の選択を嘲笑い、「わたしはこうはならない」と話していた。
しかしマンホール製造はほとんど独占市場であり、彼女の生活は安定するばかりか、就活で苦しんでいる周囲には社会人先輩の彼女が眩しく見えるようになった。
徐々に彼女に就活の助言を求める声も上がり、彼女の生き方が周囲の学びへと変化していった。

彼女の生き方は周囲の幸福の尺度を変えるきっかけになり、その学びは学生から社会人への過渡期において今でも重要なものだったと思っている。
人の幸福の尺度を測ろうとすることの不可能さ、無意味さを知ってからが、幸せの始まりなのだと。