私は今第一子を妊娠中で、今年中の出産を予定している。
今年の始め頃まで2年半ほど低用量ピルを服用してきて、妊活のためにピルをやめてから、幸いにも2周期目で自然に授かることができた。
妊活と言っても、やったことと言えば、基礎体温を記録し排卵のタイミングを少し意識したくらいだから、やっていないも同然と言われればそうなのかもしれない。それでも、そもそもピルを服用し始めた理由が、放っておくと1.5ヶ月、下手すると2ヶ月周期の生理不順持ちの私の体によるものであることを考慮すると、この短期間の妊活にも多く考えさせられるものはあった。
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それまで自分の体のサイクルで意識を向けていたのは出血期間だけだったが、妊活を少し意識するだけで、周期を通じて起きる、ホルモンバランスと基礎体温の変化、そしてそれに伴う自分の感情の起伏に飲まれてしまいそうな感覚に陥った。
まず、ピルをやめた途端に顎ニキビが大量発生した。そして、久々に経験した「本物の生理」2日目は、貧血になるのではないかと心配になるくらいの出血量に圧倒された。それだけではない。ピル服用前は、PMSの症状を特に自覚したことはなく、せいぜい生理痛に悩まされていた記憶があるだけだが、久々の排卵期には、様々な心身の不調を感じた。
この理由は定かではないが、ピル服用中は眠っていたホルモンたちが久々に目を覚ましたことで、必要以上に暴れてしまっていたのではないかと勝手に推測している(それに加えて、妊活を意識したことによるストレスも多少あったのかもしれない)。
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たった2年半、されど2年半。ピルの快適さを享受し、排卵がどういうものかを忘れていた私の体と私自身は、そんな思いをして、やっと1つの卵子を排出するということの重みに改めて気付かされた。もはや当たり前すぎる事実ではあるが、男性が精子を排出することに比べてずいぶん重みが違うことは、衝撃的にすら思えた。
健康な20代の男女がタイミングを合わせたところで、その周期での妊娠確率は2〜3割程度と言われている。28日周期の女性と比較して、タイミングが多くても2/3程度しか訪れない私のような人にとっては特に、1回1回の排卵が真剣勝負なのである。
そして、無事妊娠が成立したとしても、残念ながらその全てが無事出産までたどり着けるわけではない。
身籠っている間は、それはそれで様々な制約が付きまとうし、どんなに経過が順調でも、出産まで完全に安心できることはない。
元々の卵子の数に限りがあって、基本的に月1つしか排出されないのとはまた別の重みを、妊娠出産を意識する女性は背負っている。
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今後、第二子以降の妊活やいつか訪れる閉経の頃に、私はまた同様のことを思うのかもしれない。
だからといって、私は女性に生まれたことを嘆きたいわけでもないし、「女性ばかりこんな思いをさせられるのは不公平だ、男性に代わってほしい」などと非現実的な文句を言うつもりはない(妊活がなかなか上手くいってなかったとしたら、この限りではないかもしれないが)。
今の私にできることは、来てくれた我が子の健やかな成長を願い、体内で生命を授かり育む側の性別に生まれた時からの宿命を、静かに受け入れることである。