私が二十代でしたいこと。十代のようなことを体験したい。
私はいわゆる青春コンプと言われる人種に分類される。キラキラした青春を病気と親に奪われた可哀想なお姫様(笑)なので取り戻したい。あーまたこんなこと書くと悲劇のヒロイン症候群だ!と言われるからやめておこうと思うけど割と壮絶な十代を過ごしたはずなのに記憶が私の中のトラウマに蓋をしようとして思い出させてくれない。
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三人いたら一人余る。
私はプリクラを撮っても落書きには入れてもらえなかった。ジェットコースターに乗っても私は一人の席。道を歩く時前を歩く二人について行くのに必死で後ろから追いかけた。
男女共にブスと罵られ、可愛い子は贔屓された。
私だけ笑顔が憎いと担任に言われて私の証明写真で笑われた。笑ったやつはどちらも女だった。
家も外も地獄。
二十代の半分を病気でドブに捨てた。両親に「返して」と言っても返ってこない。馬鹿みたいなことを言った。
あーいいな。可愛い女の子は。人生が楽で。
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私はずっと憎かったから空想の世界に逃げる。
そこでは私はヒーローだ。二十代になってなんでこんなことしてるんだろうと思う。馬鹿みたい。人より知力が低いくせに妄想だけは一丁前で。
私だって可愛く生まれて彼氏とプリクラ撮りたかった。十代のうちに。
私だって可愛く生まれて友達と一緒に沢山遊んで、女神のように讃えられ嫉妬もされたかった。十代のうちに。
私だって可愛くて自己肯定感が高くて子供が可愛い子が生まれて、障害や顔や肌質が遺伝してもいい人生を送りたかった。二十代のうちに。
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無理。
無理だから今生きてる。何をして生きてるのか私でもわかってない。死にたいのに死ぬ勇気もないのに。
二十代のうちにやりたいことのハードル上がりすぎだって。この人生でどれだけ楽に生まれてイージーに生きれる人たちを羨んでもまた一秒過ぎてくだけなのに。またインスタ見てる。
親ガチャ以外も外してるのにこれからまたガチャを引き続ける人生はもうやーめた!死のう!ってなれたらいいのに。
みんな可愛いよ、って言われる世界だったらそれは美人の意味がなくなるし。
「みんな違ってみんないい」のこの時代が余計に苦しくて、二十代のうちに結婚しなくていいよ!が当たり前になって余計に選択肢は増えていって。
キャリアウーマンにもなれなくてごめんなさい。
二十代のうちに出産しなくていいよ!って言われても孫の顔を期待されても、おたくの娘さん孫見れるの楽しみーって言われても。
子供を産むための生理があるのがグロテスクで。
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十代でキラキラした人生を歩めなかった人はどこかおかしいというツイートを見たけど、私も時を戻してでもキラキラした人生が欲しいと思ったら、また親ガチャの話になってしまって。
二十代だってあとどれくらいかわからない。年齢はわかってるのにそのから目を背けて。
辛くてもそれが私が歩んできた道……なんて言いたいけど綺麗事だけじゃ生きてこれなかった。
みんなそれぞれ苦しみがあるから比べたらダメなんだろうけど。
二十代で十代のキラキラしたような青春を過ごすなんておかしいと思うしイタい女なんだろうなって思う。おかしい絶対。でもそれが過去の自分を救う方法になるなら馬鹿なことはしないで周りの人を大事にして頑張って好きなことに没頭したら友達できて……ってなってたらいいなと思いながら私は今日もそのような空想に浸る。
十代の私はずっと泣いてた、二十代の私もずっと泣いてる。笑顔はあの時から止まったままで、時間も止まったままで。
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女の子も男の子もみんな世界一可愛いしかっこいいから自信持って。
十代って本当に短い。だから私は戻りたい。
二十代になって苦しみ続ける私が心の中でエモいって言葉が嫌いじゃない理由。