私はコレクター気質があり、大切だと思う物は捨てることが出来ずに自宅のクローゼットへ保管している。
推しのアイドルグッズ。CDやDVD。雑誌や本。ぬいぐるみ。シールやポストカード。パッケージが可愛いと思って残しておいたお菓子の空き箱など。「これ必要ある?」と思えるような物を長年、持ち続けている。

突然の断捨離。躊躇うことなく手放すなかで、捨てられなかったもの

そんな私がつい最近、断捨離をした。今まで大切だと感じていた物が、急に不必要に思えたからだ。
こういった衝動に駆られることは、何かの前触れかもしれない。前回、断捨離を行った時は去年の7月。その後、現在働いている職場と巡り合えた。職場の人たちは優しい人や、プライベートでも仲良くしてくれる人たちも多い。名前はちゃん付けで呼んでもらったり、とても親しくしてもらっている。

そして今回の断捨離。今年の2月に引っ越しをしている。また更に部屋の整理をしようと思ったのも理由ではある。しかし、こんなにも「断捨離をして部屋をスッキリさせたい!」と思ったのは今回が初めてである。
フリマアプリに売った物もあるが、ほとんどの物をためらう事なく処分した。今まで可愛がっていた物を手離して、あとで後悔するのではないかと不安になったが、実際にそう感じることはなかった。断捨離後は心が晴れやかになり、片付けをした部屋が広く感じて嬉しくなった。

大量の断捨離をしても、その中でどうしても捨てられない物がある。それは推しのアイドルと撮ったチェキだ。そのアイドルとは、でんぱ組.incのことである。
当時、高校を卒業したばかりの私は、YouTubeで聴いた『さくらあっぱれーしょん』のMVに感銘を受けた。
メンバー全員がオタクで趣味が違うのに、アイドルグループとして活動している。そして、一人ひとりが同じように溶け込むのではなく、個性的というか、それぞれに輝いている部分があり、また魅力的に感じた。

推しと過ごす時間に惜しみなくお金と時間を使った日々は、大切な思い出

でんぱ組のライブやイベントにはよく足を運んだ。FC会員にもなるくらい。ライブやリリース情報は常に追っていたし、メンバーのアカウントにリプを送ったりして応援をしていた。ライブグッズもたくさん買うくらい熱烈なファンとなった。
メンバーたちと出会えるイベント情報が発表されると、いつも喜んでいた。チェキやサイン会に参加するために、同じCDを何十枚も買ったことがある。イベントに参加するための整理券をもらうため、始発でイベントが行われる店舗に向かったりもした。3時間以上、イベントに参加できるかどうかヒヤヒヤしながら大行列に並んだのも良い思い出だ。
お金に余裕が無くても、「この楽しい時間が長く続くとは限らない」をモットーに、推しアイドルと過ごす時間に惜しみなくお金や時間を使った。

ツーショットチェキを撮る前は、とても緊張する。大勢の人が参加しているので、早い回転でイベントが運営されている。自分に与えられる時間も短いので、「何を話そうか」とか「どのポーズで撮ってもらおうか」と念入りに考えていた。
ファンの人たちの中には、推しメンバーの衣装を自作してコスプレしている人たちや、小道具を作って持参している人たちもいた。そういったのも、でんぱ組のイベントでは風物詩だった。
でんぱ組ファンの人たちは、面白い人や優しくて温かい人が多かった。私自身も、SNSやイベントを通じてファンの人たちと仲良くなったり、一緒にご飯を食べに行ったこともある。

緊張しながら撮ったツーショットチェキに写る私はとても嬉しそう

チェキを撮る前に少しだけ話ができる瞬間があり、メンバーから「また来てくれたの~!」と言ってもらったり、少し世間話をしたり。ライブでは、迫力あるパフォーマンスがカッコいいし、テレビなどで活躍をしているメンバーたちはキラキラ輝いている姿が大きな存在に見えた。
でも、チェキ会の時は私の隣にいる。不思議な気持ちだ。緊張はするけど、大好きな人と2人きりの時間というのがとても愛おしかった。

あれから時が経ち、推しだったメンバーも卒業。でんぱ組は形を変えながら、現在も活動中だ。今でも彼女たちの曲を聴いては元気をもらっている。
直接会う機会が減り、イベントでもオンラインが主流となって少し寂しい気持ちはある。またいつか、メンバーたちと直接お話ができる日が訪れるといいなと強く願っている。

大好きなでんぱ組を追い続けていたあの時間や、たくさんの思い出たちはこれからも絶対に消えない。心の中でとても大切にしている。緊張しながら撮ったツーショットチェキに写る私は、とても嬉しそうな顔だ。