実家で暮らしていた頃は、料理は全て母親がやってくれていた。
自分自身では、就職を機に一人暮らしを始めたことをきっかけに料理をするようになった。
必要に迫られるまでやらなかった。料理はほとんど今までしたことがなかったため、最初からできるとは思っていなかった。そのため、一人暮らしの頭痛の種であった。
しかし蓋を開けてみれば、ある程度最初から美味しいものが作れて自分でもびっくりした。

就職する前に料理を練習しようと思ってはいたが、就職が決まってからは卒業論文が忙しかった。大学卒業から就職までは引っ越し準備もあり、ほとんど時間がなく料理を本格的に練習する暇はなかった。
もちろん料理教室に通ったこともない。高校の友達は大学生のときに料理教室に通っていた。一緒に通わないかと誘ってくれたが、その友達は元から料理を日常的にこなしている子だったので、一緒に通ったところで足手まといになると思ってやめてしまった。

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危うく料理ができないことで、毎食コンビニで調達するか、最悪食いっぱぐれる可能性もあったが、奇跡的に料理ができたことには理由があった。
実家で大学生まで料理をしたことはなかったので、料理は全くできないと思いこんでいたが、振り返ってみると料理の基礎の練習はできていた。なぜならバイトでレストランのキッチンをやっていたことがあるからだ。

バイトだったため本格的な料理を担当することはなかったが、野菜を切ったり、材料を計ったりと、料理の基本をバイトを通して習得していたようだ。
実際見よう見まねで始めた玉ねぎのスライスは、最初は分厚かったものが慣れてきた頃には向こう側が透けるくらい薄く切ることができるようになった。
このバイトを始めるまで野菜の切り方や洗い方などは全くわからなかったので、根気強く教えてくれたバイトの先輩や店長には、感謝の気持ちでいっぱいだ。

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去年のクリスマスにはお祝いメニューでイタリアンを作った。自分のためだけに作ったが、自画自賛だが出来が良かったので、友達にお裾分けしたところ絶賛してくれた。
誰かのために料理を作って、おいしく食べてもらえたことに感動した。

正直料理がめんどくさいと感じることは多々ある。
残業を少ししかしなくても、働いた後に料理をするということが難しいことに気がついた。新入社員のころはできていたはずなのに、体力の衰えを感じてしまった。
今は休日に平日の作り置きをするようにしている。
会社に持って行くお弁当を作ることや、朝昼晩のごはんを自分で準備することに嫌気がさすこともある。それでも自分で料理をすることは楽しいと感じるし、美味しい料理が作れた時は嬉しい。

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まだコンロを上手く使う時間配分や、効率よく料理を進めることが苦手である。どの順番で調理するのが、全ての料理を美味しく食べられるのか試行錯誤している。
自分で料理すると、嫌いな食べ物は食べなくなってしまうので、苦手な食べ物も時々は食べるようにしたい。魚料理が苦手であまり作らないので、栄養が偏りがちになってしまうことも懸念している。

どうしても時短にしがちだが、時にはだしを取るところから始めることも、料理の上達には欠かせないことだと思うので、時々挑戦したい。
料理は今後もずっとしていかなければならないことだと思うので、技術を磨きつつ、誰かを自信を持ってもてなせるようになりたいと思う。