関東から四国、高知県にきて早年がたった。大学生らしいこと、せっかく高知に来たのだから高知らしいことをと思い大学年の夏もよさこいを踊ることに決めた。

昨年とは違い幹部という立場になり約10か月間活動を行ってきた。自分たちで2024年のテーマを決め担当を分担し夏に向けての準備をしながら演舞での遠征も何度かした。

私が持って行った案によりみんなで作り上げた“澪狼”というテーマ。幹部メンバーのうち、8割は私とは違う学校の人だったが年度が変わって春以降はすっかりみんなの性格やいいところ悪いところなどが見えていた。

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本番2か月前、本格的に活動が忙しくなった。週5回の活動、作業、振り落とし。私は家から9キロ離れた活動場所へ毎日授業後自転車で行き、夜日付が変わるくらいの時間にやっとまた9キロの帰路につくというような生活を送っていた。

このメンバーとなら乗り越えられると思っていた人たちとの活動だったが周りに本心を話せず苦しさが募っていき、昼でも夜でも所かまわずよさこいのことが頭の中を駆け巡った。

朝学校へ行くために自転車をこいでいるときも、授業を受けているときも、サークルの行きかえりやサークル中はもちろん、お風呂に入り布団へ入ってからも。次の活動時にこなさなければいけない作業やその日の振り返り、本番までに上げなければいけない自分の踊りの完成度など時間ができればできるほど私の頭の中はよさこい色に染まっていった。

本番が近づくにつれ体は疲労困憊だが頭には考えが巡り、頑張らなくてはならないという頭と少し休みが欲しいという心の間にずれが生じ、気づいたら眠ることなく日過ぎていることもあった。

さすがに体はそこまで徹夜して運動もしているため耐えることはできずに代償として何の音にも気づくことができないほどの深い眠りに落ちてしまうこともあった。

自分のことが理解できなくなり、それによって周りを裏切ってしまったこともあった。自分のせいで居心地が悪くなってしまった。まさに、自業自得というやつだ。

でも、最後まで意地で続けた。ここに来るまで頑張った自分を見捨てることなどできなかったから、というのも本音だが実際は周りが私を見放さないでいてくれたから。

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本番前日、夜中の時まで作業をしたのち自宅に帰り最低限の準備のみしてから今回の集合場所となった普段の活動場所へととんぼ返りした。

集合時間は午前7時、私が集合場所へ着いたのは午前4時半。1時間半は寝れる時間であったが緊張とソワソワで全く寝ることができなかった。
無事に2日間が終わり、途中あんなにも自分を蝕んできたよさこいがいったん終わりを迎えてしまったことにさみしささえ感じた。おそらく今まで経験してきた夏の思い出の中で一番熱いものになったであろう。幹部以外にも踊り子さんやスタッフさん、8割以上が他大学の方でこのチームに入らなければ知り合うことなどなかった人がたくさんいる。すべて大切な出会いだと思っている。
私はこの夏、あまり良しとされていない頭と心のずれを経験し、眠れない夜の薄暗い景色を見たがそれと同時に素敵な仲間を手に入れた。