高校1年生の時、仲の良かった女の子がいた。
第一印象は大人しくて華奢な女の子。
仲良くなったら、よく笑う面白い女の子、に印象が変わった。

驚くほど気が合う対角線上にいた彼女。一生仲良くしたいと思っていた

仲良くなったきっかけは覚えていない。
名前順に並んだ机じゃ、私と彼女は対角線上にいたはずだ。
ただ、私が彼女のことを好きで好きで仕方なかったことだけは覚えている。
そして、驚くほどに気が合ったんだ。
“感覚が似ている”というのは一緒にいる上でとても大事なことだと思う。

部活も勉強も一生懸命に努力する彼女を尊敬していた。
誰に対しても優しくて、優しすぎて悩んでしまうところも全部ひっくるめて好きで、素敵だった。
そんな彼女と出会えて良かった。
一生仲良くできたらいいな、と心の底から思っていた。

2年生でクラスが離れても普通に仲が良かったと思う。
私は私で、彼女は彼女で。
新たな友だちができても、新たな世界ができあがっても。
普通に仲良くできていた。

3年生で再び同じクラスになった時は驚いた。もちろん嬉しかった!また一緒にいられる、そう思うとワクワクした!
高校生活最後の1年を好きな友だちと過ごせるなんてこれ以上嬉しいことはなかった。

同じクラスになり、一緒にいられると思っていたのにズレていく関係

でも、いつの間に女子特有のグループはできていて。
教室の対角線上、短いスカートの女子たちに囲まれた彼女は私といた時なんかより随分と楽しそうだった。
たぶんそれに私は勝手に寂しさを覚えていた。
また一緒にいられる!と思い込んでた私がダメだった。

そしてそこから少しずつ少しずつ、何かがズレていった。
同じクラスになっても、あの子とまた一緒に楽しく過ごすことはできなかった。

あの子のありとあらゆる言動は1年生のあの頃とは180度違っていた。
“あの子は変わってしまった”
そう思って距離を取った。あの子も最初から私と一緒に過ごす気はなさそうだった。
本当は体育祭で同じ競技に出たかったし、文化祭も一緒に回りたかった。
そして、そんな未来を描いていたことを伝えたかった、のに。

1年生の時はあの子と気が合うと思っていたけれど、きっとあの子が合わせてくれてたのかもしれない。
あの子は大人しいと思っていたけれど、本当は楽しく賑やかに過ごすのが好きなのかもしれない。
私が勝手にあの子を親友だと思っていたけれど、あの子はこれっぽっちもそうは思ってなかったかもしれない。

そんな風に自分の心に言い聞かせて、最後の最後まで微妙な距離感で高校生活を終えた。

卒業してから約5年、いつかまた会った時に意地を張らず伝えたいこと

卒業してから約5年が経った。
誰とでも繋がれるこの時代だけど、私もあの子もお互いのSNSをフォローしていない。
風のうわさで聞いたのは、あの子に素敵な恋人ができたこと。
あの子が皆に憧れられるような職業についたこと。

1年生の夏の終わり、語り合った夢の話。
二人で新宿まで行って聞いた、夢への道。
きっと私たち二人だけのヒミツの夢。
だけどお互い反対されて叶わなかった夢。
「大人になったら一緒に仕事しよう」なんて、もう充分大人なくせして約束した夢だった。

あの時の夢とは少し違うけど、私は1歩ずつまた新たな夢に近づくために今こうしてあなたことを綴っています。

「本当は仲良くしたかった」
いつかまたあなたに会った時、意地を張らずに言えますように。