ある秋晴れの日に、家族3人で「ハイキングに出かけよう」ということになった。
その日は、サッカーワールドカップ「日本×コスタリカ戦」が行われる日だった。「サッカーが始まるまでに帰ってこよう」と話し、京都の高雄から清滝川を経由し、嵐山へ向かうという、ゆるい下り坂コースのハイキングへ出掛けた。
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京都駅から高雄行きのバスに乗り、30分ほどかけてようやくスタート地点に到着した。ちょうど紅葉の季節だったから、本当に綺麗な景色だった。イチョウともみじが、木の下にもたくさん落ちていて、「じゅうたんのようだね」と言って、スタートを切った。
トコトコと、ゆるい坂を下っていく。空気が綺麗で、呼吸がしやすくなって、気持ちも上がっていくのが分かった。
私は、街中にいる時よりも、自然の中の山にいる方がなぜかおしゃべりになるのだ。歌いたくなって、トトロで流れる「さんぽ」を歩くタイミングに合わせてふふんと歌いだす。
1時間程歩くと山がひらけてきて、清滝川のある渓谷に到着した。ここは、愛宕山という山を登るときの入山口に近いところなのだが、「前にここに登ったときは大変だったな」と話していた。
なぜかというと、以前この山に登った時に、食べるものを何も持っていかず、ちょうどお昼時に頂上へ辿り着いた。椅子でおにぎりを食べる人たちを横目に、ひたすら山を下っていき、お腹が空腹で限界に近付いた頃に山のふもとの蕎麦屋さんに辿り着いて「生き返った〜」なんていうことがあったからだ。
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少し余談だったが、今回の旅は、ちゃんとお湯とカップ麺をリュックの中に入れてきた。
川辺の石に腰掛け、ここでお昼休憩をとった。カップ麺にお湯を注ぎはじめたのだが、「あれ、お湯がぬるい」ということに気づいた。それに加えて、3人分のお湯が足りないのだ。
なるべく平等にお湯を分けて、ラーメン、ラーメン、うどんに注いだ。せっかくなので、3つの味くらべをした。ラーメンは……案の定、麺が固かった。しかもお湯が少なかったので味が濃い。次に、うどんを食べると……お!美味しい!お湯は少ないけど、うどんがちゃんとスープを吸っていて、柔らかかった。
ここで学んだのは、非常食として役に立つのはカップうどんだということ。少ない、ぬるいお湯でも美味しく食べられるということがわかった。
お昼ご飯を食べ終わり、「さあ!あと半分、もうひと踏ん張り頑張ろう」と歩き始めた。……だんだんと街中に近づいてきて、人の声が聞こえるようになった。
ようやく、嵐山に到着した。せっかく観光地に着いたが体がヘトヘトになっていたので、早々と電車に乗って帰ることにした。
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電車の中で、「そうだ!今日の夜はサッカーワールドカップの試合があるね!」「夜ご飯どうする?」「ドミノピザを頼んで、ピザを食べながらサッカー観戦する?」「おお!良いねえ!」と会話をして、夜ご飯はドミノピザに決定した。
サッカーが始まる前にピザを家まで届けてもらうように頼んだ。ピザとコーラとサッカー……想像すると気分上々になり、ちょうどハロウィンも近かったので、家にあるカチューシャをつけながら、サッカーとピザを待った。
いよいよサッカー観戦が始まった。そこまでは良かったんだけど……その日は日本がコスタリカに「0ー1」で負けるという結果になり「あ〜あ、日曜日の夜になんだかブルーな気分になっちゃったなあ。終わりよしで、月曜日を始めたかったなあ」と3人で話していた。
だが、ハイキングからのサッカー観戦という1日は、私にとって思い出に残る良い日だった。