結婚していないこと、さらに彼氏もいないという現実をみじめに感じたときがあった。

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苦しいし、人肌恋しくなるし、表面上は平気そうな顔していても、心の奥ではじくじくと胸の奥が痛んでいた。

誰かと比べて自分は全然だめだとネガティブになっていた。
一人でいることが苦しくて、でも現状を変える勇気も持てなくて、そんな状態でいるとより寂しさが募って仕方がなかった。

こういう時は髪の毛を短く切りたくなるのだが、せっかく伸ばしてケアをした髪の毛を切ってしまうことがなんとなく惜しく感じた。このときはなんとかバッサリ切ることは思い留まり、髪型と髪色を変えるだけにした。それだけでも気分が変わり、自分に自信が持てるような気がした。

何もない空虚感と、一度心が満たされるという幸せを知ってしまった後の虚無感では別の苦しみがあった。

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思い返せば、せっかくいい感じの人がいたのに、急にそっけなくなったときがあった。
とてもいい感じだったのでうまくいくことしか想像していなかった。
そういう状況で、急に突き放されてしまうと 喪失感がとてつもないと感じた。
私が相手の気に入らないことを何かやらかしたんだろうなと思うけれども、時は戻せないので、やらかしたことをなかったことにはできない。
まだ完全に関係が終わったわけではないときだったので、あまり誰かに言える状況ではなく、心の中もぐちゃぐちゃで整理ができていなかった。
誰にも相談できなかったので、一人で抱え込んで自分を責めた。
なぜうまくいっている状態をキープできなかったのだろうと永遠に考えていた。

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単純作業をやっている時やお風呂に入っている時は、色々考えて堂々巡りになってしまう。

何もやっていないと、このままでいいのかなど、どんどん不安になっていくので、勉強をすることにした。
集中をすればちゃんと目の前の問題に向き合うことができたので、一時的に辛い気持ちを忘れることができた。
仕事をがんばって、仕事のことだけを考えることも効果的だった。

しかし、一時的に喪失感や苦しさを忘れることができても、ふとした瞬間に全てを思い出してしまう。根本的には何も変わっていないのだ。傷は癒えていなかった。

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あるとき失恋をして心がズタズタになっていても、複数人と会うことで気持ちが前向きになることに気づいた。同時に苦しさが少し癒えている。
失恋したことを話題にしていなくても、他愛もない話をしているだけで、四六時中ちくちくつつかれていた胸の内のことを忘れることができた。
ものすごく孤独に感じていたところから、誰かと過ごしているという物理的なつながりと、愛されているという見えないつながりからくる充足感で満たされる心地だった。

実家で家族と過ごすことも通じるものがあり、安心感を得られると思った。
さびしさを感じるたびに実家に帰ることはできないが、自分を労ることができる空間があるということを知っているだけでもさびしさを埋めることができると思う。