週末のお休みは、りっちゃんを車に乗せて買い物に連れていくのが私の役目だ。

りっちゃんとは、私の自慢の大好きな祖母の事だ。
りっちゃんにとって一人目の孫が生まれてから、おばぁちゃんと呼ばれることが嫌だからという理由で「りっちゃん」で親しまれてきた祖母。

りっちゃんの旦那さんは私が生まれる前に他界してしまい、どんな人だったのか話で聞いたことしかないけど、子供も結婚してそれぞれの住む場所に行ってから、りっちゃんは大きい家に一人で暮らしている。
私が住んでいるところよりも周りが田んぼや畑に囲まれた田舎に住んでいて、自転車で移動する生活をしているので、毎週日曜日に車で隣町のスーパーに連れて行く。
そんな日曜日をりっちゃんは楽しみに待っていてくれる。もちろん私も楽しみだ。

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スーパーでは食材を中心に、薬局では日用品、農業用の野菜の種や植物の苗、買い物ルーティンは決まっているけど、目的によって追加になることもしばしば。
時間があればランチに行ったり、流行りのカフェでひと休みをしたり、変わった景色を見てりっちゃんはいつも驚いている。
「らくらくスマホがあるから機種変してみたら?」と何度も言うけど、頑なに変えずガラケーで生活しているりっちゃんにとって、情報収集をできるのは新聞とテレビだけ。
だからこそ、車でお出かけできる日に色んな景色を見せてあげたい。

コロナウイルスが流行する前は隣の県に行ったり、地元から二時間かけて海を見に行ったり、四季折々の景色や食べ物を一緒に食べに行ったりもしていたけど、今は感染リスクも考えて地元近辺に留めている。
いつか収束する日が来ることを願って、時が来たらまた行きたいねと話している。

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りっちゃんのお家にに世間話をしに来る友達がいる(通称ババ茶会)。
その時に私が出くわすと、決まっていつも言われている言葉がある。
「りっちゃんはいいね~」「孫が遊びに来ていいね~」「いつも賑やかでいいね~」と。
りっちゃんは照れ隠しをしながら「ごみが増えるだけだ~」って言うけど(笑)。

幼い頃は、両親が共働きで、休みの日はいつもりっちゃんのお家で過ごしていた。
その度にタクシーや電車で色んなところに連れて行ってもらった。
ショッピングモールに行っては、お小遣いをもらって半日ゲームコーナーで遊んだり。駄菓子を買ったり。服を買ったり。
その間、りっちゃんは座ってただひたすら待っていた。
一緒に映画を観たり、街中にでてデパートに行ったり、両親がいない寂しさを感じさせないくらい楽しませてくれた。

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中学校・高校に上がったらお泊りをする回数が増えた。
いとこ同士で集まって、毎週のように泊まって、りっちゃんが作ってくれるご飯をたくさん食べた。
いとこの半分が社会に出てからお泊りする回数が減ったけど、私は定期的にりっちゃんと過ごす時間を作っている。

買い物係になって四年。りっちゃんが知らない景色をこれからもたくさん見せてあげたいと心から思う。
りっちゃんからもらった数えきれない恩とたくさんの愛情を少しでも返していきたい。

りっちゃんにとっても自慢の孫になれてるかな。
大好きなりっちゃん、長生きしてね。