2024年12月、私は失恋をした。人間だれしも失恋からいつかは立ち直れる、そういってもまだまだ暗いトンネルの中にいる気分だ。自分が立ち直るための手助けとして、2025年2つのことを宣言したい。

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出会いは、恋愛について何も考えていなかったときに舞い込んできた10月の合コンだった。大好きな推しの舞台を見た足でそのままスキップして居酒屋に向かったあの日、私はキラキラと輝いていたのだろう。これまでは合コンに行っても1人と連絡をするかしないかで終わっていたのに、家に帰ると2人から連絡が来ていた。

2人とも同じ高校、部活、大学だった。仲の良い彼らの中で同時並行なんて無理だということは初めから明確だった。でも、私は2人と1回ずつデートをした。絶世の美女でもない私が選べる立場だなんて思っていなかったが、たった3時間の一次会、二次会で見極めるなんて恋愛経験が乏しい私には無理だった。

1人は、すごく優しくて気が遣えて、私を大切にしてくれて、絶対に不快にさせない弁護士。「可愛いね」、「楽しかった」、「今度会うときはここに行こう」などの嬉しい言葉も思いやりが感じられる行動も、一緒にいて心地が良かった。

もう1人は、一緒にいて本当に心から楽しくて、私をドキドキさせてくれる、でも少し気遣いが足りない銀行員。初めてのデートの誘いからドライブを提案してくる想像の斜め上を行く人だった。そして、「パパ活してるの?」、「許容度高そう」、「うちの外観見てく?」的外れなダサい発言が多いうえに、大学時代は5股していたという噂があった彼が本気なのか遊びなのか分からなかった。

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今思い返しても、書き起こしていても、弁護士の彼の方が良い人だったと思う。友人に相談しても、いわゆるヤリモクの可能性がある銀行員だけはやめておけ、と全員が口を揃えて言っていた。自分でもわかっていたし、銀行員の彼には適当に返信をして連絡を絶ち、必死に弁護士の彼を好きになろうと努力した。でも、自分の頭と心は違った。ずっと銀行員の彼のことが頭から離れなかった。

私は弁護士の彼に対して正面から向き合いきれないまま、ずるずるとした連絡を取り続けた。結果、2回目のデートの日程を調整している中で「もう会えない」と言われ、あっけなく終わってしまった。明らかに振られたのだが、不思議と失恋した気分にはならなかった。

その時私は、「会いたい」と勢いで銀行員の彼に連絡してしまった。誰かにとられるのが怖くて、早く会いたくて仕方がなかった。弁護士の彼に振られたことなんてどうでもよかった。私は、ここで初めて銀行員に対して恋をしていたことに気が付いた。たくさん失礼なことを言われ、遊ばれているなと感じていたが、それでも彼が良いと思える楽しさと心地よさがあったことにもっと早く気が付くべきだった。

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次の日の夜、銀行員の彼と電話をした。弁護士の彼と同じコミュニティに属するのだから、本気で向き合うつもりならば、早く自分の口から全て言わなければいけないことは理解していた。ずっと会いたかったこと、連絡を取っていたとはいえ、弁護士の彼には興味がなかったと気が付いたこと、私の気持ちは私にしか説明できないのだ。

でも臆病な私は、顔の見えない状況で全てを言うことができなかった。「次会うときに説明するけど、連絡をくれていればこんなことにならなかったのに。次話すね」としか言えなかった。

結局、次は来なかった。会う日程は電話で決まっていたが、時間を決めようと私が送った連絡は当日まで未読無視をされていた。こちらから改めて連絡をしようかと悩んだが、しなかったし、できなかった。私は、5股の過去や前回会ったときに家に誘われかけていたことが脳裏によぎり、会うことができなかったときの後悔よりも大きな苦しみがそこにあるような気がして、勇気を出すことができなかった。

そして会う予定だった日から時間が経った今日もずるずると引きずり、落ち込み続けている。なぜ彼が連絡をくれなくなってしまったのかは、わからない。電話先でまた連絡をくれてうれしいと言っていた彼が、急にパタッと連絡をしてこなくなる理由が分からなかった。

きっと弁護士の彼と何か話をしたのだろうな、とは考えているけれど、別の女の子がいたのかもしれない。だから連絡をしてもしなくても同じように苦しんでいたとは思う。でもこんなにへこんでしまうのなら、こんなに苦しいのなら、せめて会えない理由を聞くために連絡をすればよかったと今となっては後悔をしている。

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今回の失敗の原因は、全て“素直”になりきれなかった私の弱さにあると思っている。なかなか異性の人を好きになれない中でやっと惹かれる人に出会ったのに、過去の話や違和感ばかりに目を向けて、まっすぐ相手を見つめている自分の気持ちの大きさに“素直”になることができなかった。

2024年の中で1番大きな後悔だが、年内に“素直”であることの大切さに気が付くことができてよかったと思っている。2025年は“素直”になる、これが私の1つ目の宣言だ。“素直”な自分で、自分が望む未来にまっすぐ突き進みたい。

そして、私は運命というものがあると信じている。全くの他人であった彼と出会ったことと同じで、もしそこに運命があるのであればいつかまた必ず出会えるはずだ。もし今後彼と話ができる機会があるのであれば、その時は“素直”に面と向かって気持ちを伝えたい。そしてもし彼との間に運命がないのであれば、彼よりも絶対に素敵な人を見つけて2025年内に幸せになる。これが2つ目の宣言だ。

2025年、もう後ろは振り返らない。絶対良い1年にしよう。