このエッセイを書いているのは、2025年1月21日。コーヒーを飲みながら書いている。

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2025年1月19日、私は京都へ旅をした。

目的は、文学フリマというイベントだった。私は短歌をやっていて、組んでいる短歌ユニットの相方と各々の創作仲間と会いに行くことにしていた。

夜行バスで6時ごろ京都に着き、コンビニ飯で朝ご飯を済ませ、清水寺を訪れ、お昼ご飯を食べ、メインの文学フリマに行った。

もちろん清水寺も、文学フリマも思い出になったが、「お昼ご飯」が、とても印象に残った。

最初は京都駅内のレストラン街でお昼ご飯を食べる予定だった。しかし、清水寺から戻っても、まだどこのレストランも開店しておらず、早めに文学フリマの会場の最寄り駅である東山駅へ向かった。この判断が良かった。もし東山駅に早めに移動していなかったら、あの店には出会えていなかったのだから。

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東山駅にたどり着き、目的の店へと向かった。このときの「目的の店」は、実際に行った店ではない。最初の目的の店には、長蛇の列。こんなに待っていたら文学フリマに行くのが遅くなってしまうと考えた私たちは、その店に行くときに通りかかった別の店に行くことにした。この「別の店」が私の印象に残った店である。

男性の方と女性の方が二人で営んでいる店のようだった(夫婦と書こうとしたが、そうでない可能性もあることに気づいたのでやめておく)。

席に座り、店の中央に置いてあるメニューを見る。なんと、メニューはすべて手書き。ふわふわした素材が表紙に貼られてあり、装丁も自分たちでデザインしたようだった。直接貼り付けてあるメニューの写真に、上から訂正された値段。なんとも愛らしい。

私は、「韓国式海鮮麺」というメニューに惹かれ、注文した。

出てきた海鮮麺は、ボリュームがあり、とてもおいしそうだった。

食べてみると、平たく少し太い麺がもちもちしていておいしい。イカ、エビ、アサリ、ノリ、ネギという豊富な具材。海鮮のうまみが出たスープ。七味での味変もできる。これで漬物もついて980円という安さ。圧巻である。

時間も、ここが京都であることも忘れて、夢中で麺をすすった。本当においしくて、家族にすぐ写真付きで連絡した。

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店を営む二人も、印象的だった。

まず、二人は外国語で話していた。どの言語かはよくわからなかったが、ビビンバや、スンドゥブチゲなどのメニューがあったので、韓国語なのかもしれない。

私たちには、主に男性が対応してくれて、そのときは日本語で話してくれていた。
言葉で表すのが難しいが、なんだか物語に出てくるような雰囲気の二人だった。

あたたかい気持ちになりながら、私たちは店をあとにして、文学フリマの会場へと向かったのである。

帰りの新幹線の中でも、清水寺や文学フリマと並んでその店と海鮮麵はしっかりとした思い出として存在していた。修学旅行以来に訪れた清水寺の美しさや、文学フリマで初めて創作仲間と出会ったときの楽しさや衝撃と同じくらい、店の雰囲気と海鮮麺の美味しさが記憶に残っていた。

正直、こんなマンガのような体験ができるとは思わなかった。この体験は、私にしては珍しく、また旅をしたいという気持ちにさせてくれた。

京都は、私の住んでいる場所からだいぶ遠い。それでも、また京都を訪れた際には行きたいと思えるような店だった。もしも再び訪れることが叶ったら、今度はスンドゥブチゲを食べたいと思う。