「やり尽くしたと感じるまでやり切れ」オタク真っ盛りだった自分へ

オタク真っ盛りだった頃の自分へ
よく頑張ってる、えらいぞ!そして、頑張ってくれてありがとう!そのまま行けば君は完全燃焼して、オタ卒が"多分"できる。"多分"だけどね。無理にオタ卒なんて試みなくていい。君はそのまま突き進め。
2025年2月の自分より
あの私が、とうとうアイドルオタクを卒業しようとしている。かつて、そろそろ現実の男を見なさいよ!と言っていたお母さん、毎日充実してて楽しそうだからオタクのままでいいよと言ってくれた友達。みなさん、そのまま私を駆け抜けさせてください。オタク人生やりきって満足して、ようやく身近な男の人にもときめけることを知って、23歳で私は変わります。
「とにかく現場に行く」それが私のオタクとしてのモットー。自担に会うことに生きる意味を感じていたから、あの手この手でチケットをゲットして自担のために生きてきた。特に、元担がよくわからない理由で某事務所を退所してしまってからは、会えるうちに会わなきゃと思って、今の自担に会えるだけ会うことにこだわった。
楽しいはずの推し活なのに、執着心が強すぎてチケットが見つからなくて泣いた日も、最前に入って干されて泣かされた日もあった。そして、オタクのしすぎで現実を見てこなかったがゆえに、恋愛弱者となってしまったことに気が付いてしまったときは本当にしんどかった。
それでも、完全燃焼状態の今までオタクをしてきて良かったと今は思う。なぜなら中途半端ではなく、真剣に向き合ってやり遂げたからこそ、やっと後悔なく人生の軸を推しから自分に移すことができているから。無理やり途中でやめたりしていたら、未練が残っていたと思うし、何も得ることができなかっただろう。
私は、これまでの狂ったオタク人生のおかげで、これまでの自分の人生をちょっと自慢することができる。ふふふ、みなさん聞いてくださいよ。私大好きな自担に覚えてもらってるんです。目がばっちり合う瞬間の嬉しさも、「あ、たぶん私のこと覚えてるこの人」と感じたあの日の瞬間も、私に「だいすきだよ」と言ってくれたことも、あれもこれも思い出すだけで世界に色がついて胸がときめく私だけの宝物。いつか生まれる子どもにも、孫にも、ひ孫にも語り継いじゃうんだから。
そして、オタク人生のおかげで自信を持つことができた。それは、私は好きという気持ちだけで何でもできるスーパーウーマンだという自信。好きな人に対しての熱量は誰にも負けません!と声高らかに言える。私は、“自担”のことを8年も追いかけている一途な乙女だから。その上、干されたってまた次の日には懲りずにカンペを出し続ける健気さがあるし、全国津々浦々どこでも追いかけていける気力と体力もある。髪型やメイクの研究もダイエットも、会えると思ったら頑張れたから努力家でもある。
だから私は、好きな人に愛という熱量を持って接して、相手を幸せにできる自信もある。将来私の隣にいてくれる運命の相手の人も、このスーパーウーマンの私がたっぷり愛情をあげて幸せにしてあげる。好きな人にはとことん尽くすからね(でも、男の人を見る目の自信はちょっとないかも。自担が遊び人で変人だから。だから5股なんかする男に惹かれちゃったんだ。お前のせいだ~!)。
これは、自分の中でオタクとして成し遂げたい夢だった全国ツアーの全ステ、認知、全部叶えてオタク人生をやり遂げた今の私だから言えること。
「オタクはやり尽くしたと感じるまでやり切ったほうがいい」。
私みたいな執着心が強いタイプのオタクは、完全燃焼で終わるこの卒業の仕方が正解だ。と言っても、これからも自担がアイドルでいる限り、現場には必ず行くし、応援はするのだけれど。ってあれ、これまで散々卒業って書いてたのに……!?
自分の人生の軸を推しから自分に移して現実と向き合っていく。そして、推しは私を一番笑顔にしてくれる存在だから、私の応援団長になってもらって、寂しいときや辛いときに支えてもらう。
だから、「自担へ 私のこと、応援してね。これからもずっと大好き、末永くよろしく。 私より」。
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