ついこのあいだ、高校時代の友達から結婚式の招待状がLINEで届いた。
通知を見てから6時間、チャットを開かず返信に悩み続けた。

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彼女とは中学生の頃に知り合い、同じ部活で5年間過ごした。趣味が合い、彼女が好きだと言ったものを私は見て、聴いて、時間を共にした。一緒にライブに行ったり、ゲームをしたり、カフェに行ったり、数えきれないくらいの思い出がある。
特に規律に厳しい部活に属していた私たちは、先輩や後輩の愚痴を話しながら登下校を過ごした。

私たちはそれぞれ別の大学へ進学した。お互いに学生生活を楽しんでいたので、LINEをすることも、直接会うこともこの頃からほぼなくなっていた。ただ中高時代の部活は人数が多かったこともあり、大学以降も複数人で会うことが年に1回程度はあった。

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高校を卒業してからはじめて彼女に会ったのは大学2年生の春だった。ずいぶん雰囲気が大人っぽくなった彼女と話すときの話題はかつては山ほどあったはずなのに、なかった。
絞り出すようにして出した共通の話題は、中高時代の部活のことだけだった。それからお互いの恋愛事情をぼんやりと、話したくらいだった。

そのあとまもなくしてコロナ禍に突入した。家から出られないこと、大学に行けないことですっかり鬱っぽくなってしまった私とは裏腹に、その年も彼女は楽しそうに過ごしているのがSNSで窺い知れた。

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このときくらいから、私は彼女のことをまっすぐに見ることができなくなっていた。
彼女を含めた3、4人でご飯を食べに行くときも、彼女の話を聞きたくなかった。否が応でも自分の人生と比べてしまい辛くて、時には帰り道に涙を流すようになっていた。

そして去年の8月、2年越しに会った彼女から結婚することを伝えられた。私の口から出たおめでとう、や、きっとドレス姿は綺麗なんだろうね、は本心だったけれど、何も進んでいない自分の人生を哀れんだ。
同席していた友人は心からのお祝いの言葉を彼女に伝えていて、それを見て余計に幼稚な自分を虚しい存在だと思った。

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数ヶ月後の休日、彼女から唐突にLINEが来た。結婚式の招待状だった。すぐに返信することはどうしてもできず、出席した場合について想像した。
出席した場合の私は、作り笑顔で高校時代の友達と談笑していた。綺麗だね〜と花嫁姿の彼女の写真を撮り、最後に記念写真を撮る。ここまで想像したところで、心が砕けてしまいそうになった。

彼女の結婚式は行った方がいいに決まってるけど、きっと今の私の心は傷ついてしまうにちがいない。 

最初から結論は決まっていたような気がするけれど、6時間の思案の末、欠席を選んだ。

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この際だからと思い、中学高校の時はよく一緒に遊んで仲良くしてくれてありがとうと伝えた。これは本心だった、と共に今の彼女のことをどうしても受け入れられない私の反抗心も少し含んでいた。複雑な思いを抱えた私の言葉を彼女はどう受け取ったのだろう。

時間の経過は私の想像を超えて彼女との関係を変容させたけれど、確かに10代の私は、彼女を必要としていて大切に思っていた。

過去には戻れないから、今私が彼女に抱く気持ちはどうしても元のきれいな形に戻せない。友達や家族には言えない今のこの気持ちが、いつか懐かしい思い出となり笑える日が来るといい。