こんなはずじゃなかった。減っていくだけの貯金残高、私の可能性

私はこんなはずじゃなかった。こんな生活をしているはずじゃなかった。
お金のために全てをかけてきた。お金のために努力をしてきた。お金のために勉強をしてきた。
お金のために小銭を我慢した。
どういうことかというと、お金を稼ぐ仕事をしたかったから、勉強を頑張った。高校でバイトをしなかった。お菓子もゲーセンも私には関係ない概念だった。
大学に入ってアルバイトして高校生より多くのお金を持つようになったけど、小銭を使いすぎないように自分を律して、海外やイベントなど有意義なことにお金を回した。
レベルの高いバイトをして、頑張ったお金を自己投資に使って自分を成長させ、さらに自分を高め、そしてさらに社会人になったらお金を稼げるようになると思っていた。
そんな私の手取りは今ものすごく低い。
そして住んでいる場所も空港や東京へのアクセスが悪く、家賃が安いエリア。静かで、空が広くて、家と家の間に隙間があって、穏やかな街だけど。チェーン店が一軒もなくて、地元の気さくなカフェで、ランチもカフェも時間無制限での作業もできるようなところだけど。かなり気に入っているけれど。
ランクの高いクレカは作れないし、飲み会も月に1回が限度。海外旅行なんてとんでもない、不可能。貯金なんてほとんどゼロに近い。あんなに我慢してきたお菓子や服も買えない。将来のため、未来の自分のために頑張ってきた。今の私は、そんな「未来の自分」だ。
未来の自分に対して、お金を使わない、という投資をしてきた。その投資を回収できていない。投資に失敗してきている。
私の手取りが低いのは、仕事ができないから。病気で医療費がかかるから。体調が悪くて整体通いやセルメデを使い倒しているから。
どうせ自分が病気になって、フルタイムで働けない未来が見えているなら、あんなに頑張らなくてよかったのではないか。確かに勉強はしないよりもちろんしたほうがいいと思うけど、友達とリラックスして遊んだり、買い物したり、楽しく過ごせばよかったのではないか。
努力もできて、賢くて、いい人、っていう父親を持ったから、実家が太い。父親は貧しいわけではないが、お金持ち出身のボンボンではなく、一般家庭で育ち、勉強を頑張って国公立の理系に進み、そのまま大手に勤めて頑張ったから自分で自分の家族を太くした。
言い方を変えれば、最悪、親に借金をすれば生活はできるはずだ。多分だけど、貸してくれると思う。私はお金が足りないわけでははい。欲しいわけではない。お金持ちになって、毎月国内旅行、毎年海外旅行(アジア以外)をしたいというわけではない。
お金は可能性だ。お金があれば、23区に住んでもいいし、靴や服を高級ブランドで揃えて、いい香りの香水を纏ったっていい。貯金だってしてもいいし、チャリティにだって回せるし、地球や誰かにとっていい製品を選んで購入できる。そんな中で好きなものを食べ、身に着け、住み、買い、訪れるという生活をしたかっただけだ。
お金がなくて今のところ不自由したわけじゃない。確かに極度な節約はしているけど。節約してきたから欲しいものは手に入らないものだと思っているし。
ただ、私は、自分に失望しているだけだ。
努力が実らなかった自分に。メンタルが弱い自分に。頑張れない自分に。自分の人生の可能性を減らしていく自分に。お金は、財布にある現金は、貯金残高は、自分の可能性だ。私はそんな可能性と距離感を感じているのだ。私は、こんなはずじゃなかった。
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