プロペラ機で出会ったフランス人の彼女。一緒に見上げた満点の星空

私は、1人で出発した旅でも最初から最後まで1人でいることはほとんどなく、どこかで友達を作り旧友と会い、ひとときを共に過ごす。少し寂しがり屋で、だから旅の思い出は人に関わるものばかりだ。
思いつく最初の旅先の友は、20代、ニューカレドニアでのことだ。1週間休みを取って女友達と2人旅をした。初めてのフランス語圏、太平洋の南の島。強い日差しと鮮やかな緑が眩しい。滞在中に1日だけ本島から離れイル・デ・パンという小島に渡った。
プロペラ機の中、若い女性は私達の他、ヨーロッパ系の栗色の髪の女性だけだ。「1人?」身振りを交え英語で声をかけた。「そう」と返事。それから何となく意気投合し、一緒にサイクリングしようという話になり、熱い風を切って海を横に並走した。
何でもできる気になった。「テント持ってるから、今晩一緒に泊まらない?」と言われ、「ありがとう!」と即座に答え、日帰りの予定を変更。泊めてもらった。芝生の上の小さなテントに収まる3人。満天の星が記憶に残る。
普段の私は、即決で大胆な行動は取れない。旅だからできたことで旅の幸運。フランス人の彼女とは、文通に始まりメールやSNSへ移行し30年近く付き合いが続く。何度かパリに会いにいった。こんな出会いこそ、私の宝物だ。
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