香港の路地裏食堂で見つけた宝物。聴き慣れない言語も心地よいBGMに

運命とは、突然やってくるものだ。
今まで、何十カ国も旅をしてきたけれど、なぜか訪れる機会に恵まれなかった香港。導かれるままに、3か月の間に2度も足を踏み入れた。
香港のイメージといえば、100万ドルの夜景が織りなすビル群ではないだろうか。しかし、私の旅の目的は決まっていて、路地裏の美食にある。
慣れない道に戸惑いながら、たどり着いたのは、ガヤガヤとおいしい匂いが立ち込めるローカル食堂。メニューに目を走らせると、うなぎの煲仔飯にときめいた。好物のうなぎ、いったいどんな風に調理されてくるのだろう。
狭い店内を泳ぎながら、優雅に配膳する店員さんを見て「ここは絶対においしい」と確信する。しばらくして豪快にカットされたうなぎの煲仔飯が運ばれてきた。ぷりぷりっとした独特の食感と香ばしいご飯が私の全身を満たし、しばらくそのおいしさに酔いしれる。店内で交わされる言語も、一皿を盛り上げる心地よいBGMのように聞こえるから不思議だ。
その3か月後、私はまた同じ道を歩く。この迷宮から抜け出せるのは、いつになるだろうか。香港と私の関係は、まだしばらく続きそうだ。
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