半年前、旦那が「休職する」という選択をした。

仕事を長期間休むという決断は、普通に会社員として働く感覚がある人にとっては誰もが簡単に経験するものではない。もちろん、世の中には休職を選ぶ人も、それを支えるパートナーもいるのは事実。それでも、いざ自分の身近な人がその選択をしたときに、どんなふうに受け止め、一緒にいるのかは、夫婦や家族ごとに異なる課題なのだと思う。

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旦那は昔から持病を抱えていた。特に最近になって症状が悪化したわけではなかったが、医者が勧めたのもあってしっかりと向き合って治療するために休職を決めた。彼がそう言ったとき、私は驚かなかったし、不安にもならなかった。むしろスッと自然に受け止めることができた。それは、いつも旦那の選択を信じているからだ。

旦那は普段から厳し過ぎるくらいにお金の管理をしっかりしていたし、半年ほど休職しても経済的には問題ないことがわかっていた。私が会社員として働いていて安定した収入があるというのも安心感につながった。何より、旦那が病気に向き合うことは私にもメリットがある。今後の人生、当たり前に旦那には健康でいて欲しい。健康を大切にするために休職という選択肢を取れることは、誰にとっても当然の選択肢として覚えておくべきだと実感した。

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私自身が休職というものを考えたことがなかったので、夫の休職を通して考えたこともなかった「どちらかが外で働き、どちらかが家を守る」が体験できた。

私が働いている間、旦那が家にいる。その生活は、想像していたよりもずっと助かるものだった。共働きの生活から、片方が働き、片方が家を守るというスタイルになり、それが新鮮ながら便利に感じられた。

もちろん、旦那は病気の治療のために休んでいるのだから、家事を任せすぎるわけにはいかない。それでも、旦那が少し余裕のあるときに家のことをやってくれるのは私にとってありがたかった。逆に、どの部分を彼に頼って、どこまで休んでもらうかのバランスを取るのが意外と難しかった。助けてもらうことが当たり前になると、お互いに不満も溜まってくる。そのバランスは細かなコミュニケーションにも繋がって、家事に関してはお互いの分担力の精度が上がった気がする(我が家ではどの家事をどっちがやるなどは全く決めないというスタイル)。

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生活リズムが大きく変わったことで、私自身の心の持ちようを調整する必要があったのは少し大変だった。旦那が家にいるということは、単純に「安心感がある」というメリットもある反面、これまでのようにお互い忙しく働く生活とは違うため、ペースを合わせる作業が必要だった。自分が忙しいときに八つ当たりしそうになって、でもそれは違うとブレーキをかけたり。お互いがそれぞれの時間を大事にしながら、気を遣いすぎず、かといって無関心にもならず、一緒に過ごすこと。それは、夫婦としての関係を見直すきっかけにもなった。

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もし、私が休職することになったら。今回の経験を通じて、夫には同じようにパートナーが休職している時の絶妙な気持ちや、バランスを考えて理解してくれたら嬉しいと思う。生活のリズムが変わること、気持ちの整理が必要になること、そして「パートナーが休むことに罪悪感を持たないように」という意識が、どれだけ大切か。

そして、日本中のカップルや夫婦の中には、自分が休職するときに「パートナーにどう思われるだろう」と不安に感じる人もいるかもしれない。日本では、まだまだ「働くこと」が重要視されがちで、休むことに対して後ろめたさを感じることも少なくない。でも、心や体を守るために休むことは、決して悪いことではない。そしてそれをパートナーは絶対に理解するべきだと思う。

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私たちは、日頃から「休むことも選択肢のひとつ」と意識しながら生活していくべきなのかもしれない。そして、その選択をしたときに、パートナーとしてお互いが支え合える関係でありたいと思う。

旦那の休職という、些細な決断が私に新たな価値観を与えてくれたのだ。