花の都・パリ。旅行に来ていたわたしはその煌びやかさに圧倒されていた。

自分はおしゃれじゃないし、足も短いし、フランス語も大して話せない。あぁ、勝てるものが何もない。
でも「パリジェンヌ」らしく街を歩いてみたかった。何がパリジェンヌだ、という疑問はさておき、とにかく観光客ではなくパリの人として過ごしてみたかった。

◎          ◎

セーヌ川沿いを歩いてみた。カップルたちがいちゃいちゃしているのを目の当たりにして、やっぱりパリジェンヌにはなれないと思った。恥ずかしすぎる。

ふと目をそらした先、露店の古本が目に入った。あ、ほしい本がある。
どうしよう。
ーー勇気を出せ。
でも、言葉が通じなかったら?
ーー単語で話せばいい。きょろきょろするな、観光客感丸出しだ。
すごい形相で内なる自分と押し問答をしていたら、店主に微笑まれた。
OK、覚悟ができた。

こんにちは、これはいくらですか?
ーー5ユーロです。
わかりました、これください。
ーー どうぞ!
ありがとう!良い1日を!

◎          ◎

お会計含めてたった1分。
言葉が通じるって最高だ!もっといろんな人と話したい!
これだから旅はやめられない。

この勢いでパティスリーに乗り込み、メニューが読めず撃沈したのはまた別のお話。

※本文は以上となりますが、エッセイ中に書かれている実際の会話も参考までに記載します。

Bonjour, C’est combien?
-5 euros.
D’accord. Je le prends.
-Voilà !
Merci, Bonne journée !