社会全体が我慢してたあの頃。当たり前を忘れそうな時は旅をしよう

2020年夏、私は逃げ出した。
新型コロナウイルスや仕事へのプレッシャー、プライベートでもつまづきの連続……。
「もう、どこか遠くへ行ってしまいたい」。
ついに心が悲鳴をあげ、夜中に後の夫となる彼氏に泣きながら電話してしまった。
「じゃあ、遠くへ行こう」。
私たちは嘘をついて有休を取り、海が見える場所へ旅に出た。
澄んだ海とは反対に、「本当にこれでいいのか?」と自分たちの咄嗟の行動に後ろめたさがあった。
しかし旅が、自分の考えを消してくれた。
濁りの無い空と海や、鮮やかなお料理などあらゆることに感動した。
そして一番嬉しかったのは、人がいないところで思い切り息を吸えたことだった。
この数か月間できなかった、当たり前だったこと。
再びできたとき、当たり前の1つである自分を大切にすることを思い出した。
あの頃私たちは常に社会全体に対して我慢しなければいけない、という考えがあった。
皆を思う気持ちは大切であるのは分かっている。
しかし、本当に大切にするのは自分自身であることだ。
自分を大切にすることなど当たり前は、気付かずに忘れてしまう。
当たり前を忘れそうになったら、遠くへ旅に行こう。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。