中学・高校時代、通知表の評価欄は4と5が常連で、「こんにちは、また会いましたね」とでも挨拶を交わしているようだった。その中で、居心地悪そうに顔を覗かせていたのが『2』、そう、英語である。

英語が大の苦手な私は、英語を使わざるを得ない海外旅行に、正直なところ気が進まなかった。
しかし、そんな私でも2度だけ海外旅行を経験している。今回は、そのうちの1度、タイ旅行について話したい。

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2019年12月、推し活に情熱を燃やしていた私は、2020年2月上旬にタイで推しのライブが開催されることを知る。
タイといえば、手頃な物価、充実したスパやマッサージ、そして日本との時差はわずか2時間。羽田、成田空港から7時間で行けることもあり、「少し遠い日本」のような親近感を抱いていた。また、年間を通して温暖な気候も魅力的だった。冬の寒さに心身ともに疲弊していた私は、常夏のタイへと現実逃避するように旅立った。

現地では、英語が堪能とは言えない私は、中学レベルの英単語を並べたり、ジェスチャーを駆使したりして、なんとか現地の人々とコミュニケーションを取り、旅行を楽しんだ。

「あれ、英語が話せなくても、海外旅行って楽しいじゃないか」と、いつの間にか現地のタイ人とレストランで笑い合い、タクシーで雑談を楽しんでいた。タイの人々の親切さと温かさに、観光客である日本人の私も心から歓迎されていると感じ、深く感謝した。

タイの気温の高さは、人々の心の温かさと連動しているかのようだった。

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このタイ旅行以来、英語への苦手意識は変わらないものの、海外旅行への抵抗感は薄れた。
近年はコロナ禍やパスポートの期限切れなどで海外へは行けていないが、いつか再び、言葉の壁を超えて笑い合えるような場所を訪れたいと強く願っている。

私とお話ししてくださったタイのみなさま、あのときはコップンカー!