「女だから」という言葉で色メガネをかけて見られる経験は、女性として生きていると避けては通れないもののように感じる。
「女だから得をしている」と言われたこともあるし、「女は体力がなくてダメだ」と言われたこともある。

中でも、特に記憶に残っていることが2つある。

◎          ◎

1つ目は大学時代のこと。
当時所属していた部活動にて、外部から教えに来てくれている女性の先生がいた。
女性が多い部活だったこともあって、その先生は貴重な男性部員を特別かわいがっておられた(男性部員が愛嬌があって先生と相性が良かったということもあるとは思う)。
私が3年になったころ、部活を運営する立場になった際、先生からこんなことを言われた。

「今年の運営は、女ばっかりだからダメだね」

……はい???????????耳を疑った。その言葉って同性からぶつけられることあるんだ?!と心の底からびっくりした。
それから事あるごとに「この代は男がいないからダメ」だの「男手がないなら後輩でもいいから呼んでこい」だの、散々な言われようだった。

そんなことを言われても、1つ上の先輩が男女13人で分担して運営していた部活動の仕事を、女6人で必死に回すしかなかったし、部として大きなOBまで巻き込んだ記念行事も必死に準備して成功させたけど、その過程では「女である」という一点だけで通る話も通らず相当苦労した。
後輩のためにもここで自分たちが折れてはいけないと必死に頑張ったが、結局自分たちの下の代からは制度が崩壊し、自分たちの能力と根性が奇跡的にうまくかみ合ってただけなんだなと痛感した。

◎          ◎

2つ目は新卒時代のこと。
新卒で入社した会社は、先輩後輩の縦社会が厳しいわけでも、男女の差があるわけでもない、至ってフラットな会社だった。
先輩は当然のごとくものすごく仕事のできる方々なのに、めちゃくちゃ優しくて当たり前に尊敬できる方だったので、そんな社風だったのだと思う。
当然、大学時代のように「女だからダメ」と言われることはないし、「人手が足りないなら根性でなんとかしろ」なんてことも言われなくなった。
会社で働くって最高じゃん!というなんとも哀しきモンスターのようなことを思っていた。

そんな中で業務上、夜勤の話が持ち上がった。
夜勤に入ることについてどう思うか、今後のキャリアビジョンについて聞かれ、「夜勤という勤務形態は自分の生活リズム上難しい」「先輩方がやっておられる仕事などを見ていて社内の事務的作業にも興味がある」と回答した。
すると「夜勤に入れないというのは体調のこととか?それに、女性だから事務という訳ではないよ」と言われた。
普通に入社時に夜勤のこと聞いてないし、そもそも自分の性質の問題であって女性だから、なんて性別の話してないんだけどな~と不思議だった。
こんなにも風通しのいい職場でも、女性だからこう、男性だからこう、という色メガネは根強く残るのだと少しがっくりした。

◎          ◎

私自身も無意識のうちに色メガネで物事を見ていることがあるのだと思う。
その色メガネを通した発言で誰かを傷つけてしまっているかもしれない。
そのことを自覚して生きていきたいし、色メガネなしに世界を見られる日が来るように常にいろんなことを学んでいこうと思う。がんばるぞ!