好きでも時と場所を選んでしまうピンク。でも歯ブラシだけは譲れない

この季節はまさにピンクとの距離が近く感じる。それは、主に2つが関係していると思う。1つ目は「ひな祭り」。桃の節句とも言われるだけあって、ピンクのイメージが強い。もう1つが「桜」。桜が咲くのは例年3月終わりから4月初めにかけてだけれど、それに先駆けて街中の至る所で桜のスイーツを見かける。
つい最近、父親とショッピングに出かけた際、店頭にたくさんの桜スイーツが売られているのを見かけて、思わず購入した。桜風味の餡が入った小さな大福で、一足早く春を感じられた。桜は1年に1度限られた期間にしか咲かない。このはかなさが私たちの心を揺さぶるのだろう。
それだけでなく、やはり、あの綺麗なピンク色に惹かれるのかもしれない。桜の品種によって微妙に色は違うだろうけれど、濃すぎず、薄すぎず、柔らかいピンク色。この絶妙な色合いが、より一層桜の魅力を引き立てていると思う。
桜に関わらず、ピンクは目の保養になる気がする。ピンクを見ているとなんだか癒される。あのなんとも言えない柔らかくて温かみのある色合いが特権だ。ピンクは見るのも好きだし、身に付けるのも好き。
しかし、ピンクの表面積が大きければ大きいものほど、身に付けるのに少し勇気がいる。例えば、ハンカチなどの小物類は何のためらいもなく持つことができる。そして、カバン。ハンカチなどに比べると少し物が大きいので、やや周囲の目に留まりやすい。けれど、こちらもそこまで躊躇することなく身に付けられる。
そして、服。少しハードルが上がる。私はピンクのトップスとワンピースを持っている。今は普通に着ているけれど、例えば10年先も着られるかと聞かれると、トップスは平気でもワンピースは少し勇気がいるかもしれない。
自分の身体の部位で比較した時にネイルは平気。むしろ、ピンクのネイルは肌なじみが良く上品で良い。しかし、髪の毛をピンクに染めたいとは、これっぽっちも思わない。いくら、ピンクが好きでも抵抗がある。なぜだろう?やはり、ピンク=やや派手な印象があり、それを髪の毛というかなり表面積の大きい箇所に使おうとは思えないのだろう。
もちろん、男であろうと女であろうと、それに何歳であろうと、ピンクを持つことに制限はないのだけれど、私の中でピンク=女や幼いといったイメージを持ってしまいがちだ。もしかしたら、その理由は冒頭で述べた「ひな祭り」も関係しているかもしれない。
数か月前にピンク色のトートバッグを購入した時も、若いからピンクを持っていても良いと思っている自分がいた。ピンクは好きだけれど、つい時と場所を選んでしまう自分がいるのも事実だ。
ピンクは私たちにとってごく身近な色だと思う。今このエッセイを書きながら、ふと部屋を見渡しただけでもピンク色のものがたくさん目に飛び込んで来る。タオル、ブランケット、ゴム手袋、洗濯バサミ……どれもピンクじゃないと特段困るという訳ではない。
しかし、唯一ピンクにこだわっているものがある。それは、歯ブラシ。これに限っては、いつもピンク。家族で歯ブラシの色を使い分けるにあたり、私がいつもピンクを独占している。例えば、透明や青、緑など、他の色も嫌いではないけれど、歯ブラシだけはピンクを譲れない。
毎日必ず使うものこそ故の謎のこだわりなのだ。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。