似合わないからと避けてきたピンクは、私にとって武器になる色だった

私は学生時代から二十代前半まで、ピンクを避けて生きてきました。
可愛いものは私に似合わないと思って生きてきました。
理由は幼少期に言われた「ピンクとか可愛いものは似合わないね」の言葉でした。
幼少期はピンクが好きで、可愛いものがとにかく好きで、私を強くしてくれるものだと思っていました。
ピンクを身につけると、自分がとても可愛く見えて、1日がとても楽しく感じていました。
けれど「ピンクが似合わない」と言われて以来、ピンクを身につけるのが怖くなり、黒や暗い色を選んでいました。
暗い色は、私をまともにしてくれる気がしました。
世の中に紛れることが出来ると思っていました。
気付けば持ち物や服は暗い色の物が増えていきました。
でも、それでよかったと思っていました。
自分にはそれが似合うのだから。
そのほうが世間に迷惑をかけないのだから。
そうやって、自分の中の可愛いものを好きな気持ちを、塞いで生きていました。
そんなある日、私には好きなアーティストが増えました。
そのアーティストは、ピンクを着こなして笑顔で舞台に立っていました。
悲しい事があっても、ピンクや可愛いものを必ず身に着けていて凛と舞台に立っていました。
その姿を見て好きなものは武器になると感じました。
そのアーティストは可愛いものを武器に、凛と世界と戦っていました。
私よりも年上で、いつも可愛いものを身に着けて周りと戦っている。
私もそのアーティストみたいに強くなりたい。
可愛いものを身に着けて可愛いと思える自分になりたい。
自分の潜在的な好きなものを強く持って生きていきたいと考えるようになりました。
可愛いものが好きと言える人生はとても素敵だと思いました。
「好きなものを好きだと言えて、それを武器に人生に立ち向かう」。
そんな当たり前のようで、当たり前にできない生き方を私もしたいと思いました。
可愛いキャラクターや好きな色のものたち。
私はピンクが好きだったんだと思い出しました。
幼少期に好きだっただけではなく、今も好きだったと。
好きだけれど避けてきた。
私には似合わないから。
そんな色だということを思い出しました。
可愛いものが好きだという気持ちを二十代後半になって、ようやく解放できるようになりました。
傍から見たら、年甲斐はないかもしれません。
けれど、私を強く可愛くしてくれる。
そのアーティストのように、ピンクを着こなせないですが、大切にしたい色になりました。
今まで好きだった黒や暗い色もピンクも大好きです。
組み合わせることでより可愛くなるから。
好きな色や好きなキャラクターを好きだと言える今、とても楽しいです。
今まで忘れようと閉じ込めていた気持ちを取り戻して、好きな色やキャラクターを集める日々。
自分に似合わないとか、年甲斐もないとか、自分の気持ちを抑えて生きるのは、ちょっとだけ辛いかもしれません。
自分の気持ちを抑えていかなければいけない時もあります。
辛いことを忘れられるなら、自分を強くしてくれるなら、好きなものは身につけるべきだと思います。
自分を大きく変える必要はきっとないんです。
家の中なら、ポーチの中なら、ノートの中なら、可愛いを解放してもいいかもしれません。
ちょっとだけ大変な毎日に、抵抗するために。
そうやって毎日を作っていって、自分なりに戦うんだと思います。
私はピンクが好きだと思い出せて本当に良かったです。
ピンクは私を強く可愛くしてくれるからです。
好きなものを好きだと言える、そんな自分にようやくなれたからです。
今日も好きなピンクを、好きなキャラクターを、好きなアーティストを武器にして生きています。
嫌なことも、大変なことも、全部跳ね返せるように、戦えるように。
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