25歳で初体験の夢の国は、ファンシーで華やかなラーメン二郎だった

昨春、人生で初めてディズニーランドに行った。25歳にして、ようやく夢の国未経験を卒業したのだ。
小中学生の頃、何度も親に行ってみたいと主張していたのだが、叶うことはなかった。私たちが住んでいたのが北海道だったせいもあるだろう。そもそも家族では道外への旅行すら一度も行ったことがなかった。
高校の修学旅行はUSJだったし、大学では2年次からコロナが流行り始めて旅行に行きづらくなった。
そんなわけでディズニーランドに行くタイミングを逃し続けてきた私だったが、昨年、とうとう行くことが出来たのだ。
正確に言うと、行ったのはシーだった。ランドだろうがシーだろうが私にとっては「ディズニーランド」なのだ。
初めての夢の国。帽子や耳をつけた大量の人、どこにでも出来ている長蛇の列、よく分からない予約システム……。これらを目の当たりにして、思った。
ここは巨大なラーメン二郎だ、と。
25歳にして初めて経験するには、てんこもり過ぎるのだ。
まず面積が広いし、アトラクションが多い。自分がどれに乗りたいかとか、どのレストランで何を食べたいかとか、なにも分からない。
そしてとにかく列が長すぎる。チュロスですらまぁまぁ並んでいる。チュロスて。いや美味しいけど、みんな普段そんなにチュロスをありがたがらないじゃん。急にどうしたのよ、と思いつつ、そういうものなのだと納得し、並んだ。
人気のアトラクションは3時間待ちとか、本当にちょっと理解が追いつかなかった。行ったのは3月だったのだけれど、まだまだ寒かったし、このなかで3時間……?
大いに疑問に感じたものの、折角来たのだし、同行者も乗りたがっていたので並ぶことにした。待った結果たどり着いたアトラクションは、確かにすごかった。普通の遊園地じゃ味わえないものだと感じた。
でも、3月に屋外で3時間待つことの対価としては、さすがに足りない。それに見合うアトラクションなんて、きっとこの世のどこを探しても無い。
やはりディズニーランドというのは、子供の頃に一度経験しておくに越したことはないのだ。「これはこういうものなのだ」という刷り込み無しで25歳で初めて行くには、ハードルが高い。
自分が理解しきれていないルールや文化に翻弄されている間に、他のお客はすいすいと効率的に園内を動いている(ように見える)。この様子が、まるでラーメン二郎のようだと思った。
アブラ、カラメ、マシマシというような、調べれば意味は出てくるけど、口にするには馴染まない単語。独自ルールが多いけど、この場所ではそれが当たり前なのだから自分が合わせにいかなくてはという不安感。
これはまさに、ラーメン二郎だ。ファンシーで華やかなラーメン二郎。
こんなふうに書いてしまったが、総じて言えば楽しかった。あんなに人々が浮かれている場所というのも、そう無い。行けて良かったと思っている。いずれランドの方にも行ってみたい。ちなみに私は、ラーメン二郎のことも好きだ。
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