高校の初登校日、全校集会で初めて彼の後ろ姿を見た。ただそれだけの出来事なのに、私の中に刺激が走った。緊張している私と違って、彼はすでに楽しんでいるようだった。「この人と仲良くなりたい!」そんな気持ちが溢れた。
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彼とは3年間ずっとクラスメイトだった。1年生の時、後ろからよく彼を見ていた。私たちはテスト前後でしか会話することがなく、クラス内成績も1位の私と2位の彼だったから勉強の話ばかりしていた。2年生で理系か文系に分かれる高校で、私と彼は偶然にも理系を選択していた。当初はお互い理系を選択したことを知らなかったから驚いたが、他に知っている理系のクラスメイトも限られていたから、それをきっかけに話すようになった。
趣味が同じだったり、少し考え方が似ていたりして、よく一緒にいるようになった。こっそりCDの貸し借りをしたり、放課後、制服から着替えて2人で気になっているバンドのライブに行ったり、テスト前は私の苦手な分野を教えてもらったりしていた。
理系はクラス替えがないから、3年生も同じように過ごした。私たちの高校はブレザーだったから、第2ボタンなんてなかったけど、当時、最終登校日に左胸ポケットに付ける名札を交換もしくはもらうというのが流行っていた。
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彼と過ごす時間が好きだった私は2年生の終わりと卒業式1か月前に「卒業式、名札ちょーだい」って何回か言っていた。でも、さすがにうざいかなって思ったり、私自身、卒業式登壇者に選出されて高校最後の1か月間は少し話すくらいで、私もおねだりはしてなかった。「もらえないな~」って思っていた最終登校日、初めて彼から呼ばれて、彼のもとに行った。
いきなり「手、出して」って言われて、その言葉のときはいつもゴミだったから、「またゴミでしょ?最後の日なのに嫌だよ」って返したら、「いいから、早く出せって」って言うから、手を出したら、彼が3年間付けて留め具が若干壊れている名札を渡された。
驚きすぎて、すごく大きい声出した私に向かって「ね、ゴミだから。あげるよ」って言い残して、バイバイって帰っていった。次の日の卒業式、私はこっそり彼の名札を左胸ポケットに入れて登壇した。
卒業式にて、花道を待っている間もいろんな人と写真撮っていた私を呼んで、彼から「写真撮ろう」って写真嫌いなのに言ってくれた。すごく嬉しくて、もう満足でしかない私はドキドキが伝わらないように、いつも通りの関わり方をしていた。それでも、私たちは高校時代、付き合わなかった。
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高校を卒業して、彼は専門学校に、私は大学に進んだ。それでも私たちは3か月に1度のペースで会っていた。お互いの進学先の話をしたり、バイト先の話をしたり、近況報告みたいな話をするだけなときもあった。
お互いに恋人がいたときも、特に気にせず2人で会っていた。当時の彼氏には申し訳ないが、成人式が来たら彼に告白すると決めていた。だから、それまでに別れた。
成人式の日、会うとかはなかった。ちゃんとした告白の仕方がわからなくてLINEで遠回しに告白した。ちゃんとフラれた。だからといって、関係性が変わるとかもなく友達のままになったが、その数日後、彼から夜LINEがあった。
そこには「好きです。付き合ってください。嫌だったら忘れて」このLINEを朝、寝ぼけまなこで見た私は夢かと思って、もう1回、寝ることにした。でも、夢じゃなかった。それからお返事をして、付き合うことになって、時間があるときに電話をして、デートの日を決めたけど彼が10日間アメリカに行く予定があって準備が終わらないってことで帰国してからデートすることになった。
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結局デートは付き合って1か月が経つ頃だった。付き合っても会う頻度は変わらず、映画観て、居酒屋行って、終電で帰る、たまにお泊まりしていた。ただ彼の就職もあり、2年目に突入する頃には遠距離恋愛になった。遠距離になる前はほぼ毎日会って、遠距離になってから1か月は毎日のように電話をしていた。
彼が向こうの生活に慣れるまではわりとカップルらしく過ごしていた。彼が向こうの生活に慣れてからは、また3か月に1度のペースとかに戻ったけど、それでもなんとなく続いて、4年くらい付き合った。
私のてんかん発作が頻度になり、彼も体調を崩して休職していて、話し合って、「今はお互い支えられる余裕がないから、1回別れよう。また何年かしてタイミングがあったら、また付き合おう」とカップルとしての終止符をうった。
その後も年に1度は必ず2人で会っている。最近、会った時に当時の自分たちを振り返って、まだタイミングじゃないね。なんてその日はバイバイしたが、また1年後会う約束をした。
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今でも私の中では、彼は唯一無二の理解者であり、迷子になりそうな私を甘やかさず、叱ってくれて、一緒に目標を決めてくれる存在になってくれた。私たちは友達期間、恋人期間、友達期間を経て、今も繋がっている。きっと彼じゃなかったら、今の私は保てていない気がする。
私の想像だけど、私たちはお互いのことを思って、ずっとお互いに恋している。だから、別れてからも繋がっているし、これからも近すぎず、離れすぎない距離感な気がする。それは付き合っていた4年間、お互いのしんどかった時期を知っているからかもしれない。
ただ、この繋がりだけは一生忘れない出会いであり、忘れることのない恋です。