今日も寝ている夫の前で涙を流してしまった。

別に喧嘩をしたわけでも、怒られたわけでも、何か特別な事件があったわけでもない。ただ、いつか大切な人を失うのではないかという不安にかられ、悲しくなって泣いてしまったのだ。私は実に弱い人間だ。

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私は苦手なことも多くて、消極的にも考えてしまう傾向にある。夫の前で密かに泣いてしまうのも消極的に考えてしまうことにあたるだろう。夫が病気になったわけでも危険な仕事をしているわけでもないのに、いつかくる別れを想像して悲しくなってしまう。考えても仕方のないことをつい考えてしまう。悪い癖であり弱いところでもある。

でも、私はその弱さを理解しているという強みがある。
この世に完璧な人間はいない。
得意なこともあれば苦手なこともある。私が知っているドラマや漫画に出てくるヒーローだって、弱いところや苦手なことがあった。でも、ヒーローはその弱さと向き合い、戦ったり仲間を作ったりして困難に立ち向かおうとする。それはドラマや漫画だけの世界だけでなく、身近にいる人たちも同じなのではないだろうか。

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私は「自分の苦手や弱さを理解すること、そしてその苦手や弱さを認めること」が強さにあたると考えている。苦手や弱さを理解し認めることで、それをカバーするためにどうしたら良いか考えるきっかけになる。そして、同じ悩みを抱える人と共有したり共感したりすることで、解決策が生まれる可能性があるとも考えられる。私たちは言葉で伝え合うことができる。

そういったことができるのは、自分の苦手や弱さに気づいているからである。自分の苦手や弱さがわからなければ、自分の苦手や弱さとどう向き合えば良いかもわからない。自分の苦手や弱さを認めなければ、誰かに助けを求めることもできない。

私は算数や音楽は得意だけれど、体育や英語は苦手。歩くのは好きだけれど、車や自転車の運転は苦手。料理は好きだけれど洗い物は苦手。生き物の名前を覚えることは得意だけれど、地名を覚えることは苦手。初対面の人とコミュニケーションをとることは得意だけれど、知り合い程度の人とコミュニケーションをとることは苦手。

準備が十分なら堂々と人前で話せるけれど、入念に準備していないと自己紹介ですら噛みまくりで、うまく話すことができない。
そんな自分の苦手なことや弱いところを理解していることこそが私の強いところだ。

苦手なことや弱いところがあるのは当然のことである。それに立ち向かうことが大事である。でも、苦手なことや弱さに必ずしも立ち向かわなければならないわけでもないと思っている。自分の苦手や弱さを認めて、思い切って誰かにお願いすることも大事だと思うし必要なことだとも思う。

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人によって苦手なことや弱いところは違う。無理に苦手なことをやって危険な目に遭ったり、弱いところを大丈夫と強がって心が折れてしまったり、自分1人で解決しようとしてしまうと良くない方向にいってしまうことがある。

正直に周りに自分の苦手や弱さを伝え、助けを求めることも大切で、伝える勇気があることも強さだと考えている。苦手な人が苦手なことを危険を伴ってまでやることよりも、得意な人が安全にやってくれた方が効率的だし安心なはずだ。

やる前から苦手だから、弱いからと決めつけるのは良くないことだが、人には得意不得意があるのだから、時には誰かにお願いすることも大事である。私たちは支え合って生きているのだから。

私は今日も夫の前で泣いてしまうかもしれない。でも、その弱さに負けないように私はいつかくる別れを想像しながら毎日伝えるのだ。「好きだよ」って。毎日毎日伝えるのだ。もう聞き飽きたかもしれないけれど、毎日伝えていたら大丈夫な気がするから。あなたのふっくらとした優しくて温かい手を握りながら言うの。「ずっと好きよ」って。支え合いだね。