【かがみ企業インタビュー02】プラン・インターナショナル・ジャパン「女なんて」今も耳にするなんて…男女比逆転職場の常識

エッセイ投稿サイト「かがみよかがみ」には、18~29歳女性たちが書いたエッセイが2万本超届いています。エッセイからは、かがみすと(投稿者)たちが、悩みながらも個人として社会をアップデートしていこうとする思いが伝わってきます。そして、かがみすとと同時代を生きる企業も同じく悩みながら組織としてチャレンジを続けています。かがみすとのエッセイに呼応する企業の「中の人」の声を届けます。
「女だから」という言葉で色メガネをかけて見られる経験は、女性として生きていると避けては通れないもののように感じる。
「女だから得をしている」と言われたこともあるし、「女は体力がなくてダメだ」と言われたこともある。
結婚したら女性は家庭に入るのが当たり前という時代に社会にでました。そのような
風潮の中で、自分としては長く仕事を続けたかったので、女性が多い職場であれば女
性が働きやすい環境が整っているだろうと考え、百貨店やアパレルに勤めました。そ
の間にプランの活動に共感し支援者となり、それがきっかけとなり、2003年に財団法人日本フォスター・プラン協会(現プラン・インターナショナル・ジャパン)に入局。寄付者対応やマーケティング業務を経て、2017年から人事総務グループで働いています。
――青木さんのお仕事内容を教えてください。
誰もが平等な世界の実現にむけ、世界80カ国以上で子どもたちや女の子たちとともに活動する国際NGOである公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの管理部門の人事総務グループで働いています。
職員は全員で約70人いるのですが、そのうち人事総務グループは私をいれて5人。人事、労務、総務など多岐にわたる役割を担っています。
――かがみすと(投稿者)のエッセイを読んだ感想を聞かせていただけますか。
何人かの方が「女だから」「女なのに」という言葉を投げかけられた、と投稿されており、驚きました。
プランで働いている限りは、「女だから」なんて言葉を耳にすることがないので、世の中ってまだこうだったんだと。自分がかつて経験したざわつきを思い出しました。
――なぜプランでは、そうした声を聞かずに済むのでしょうか。
入局すると、まずジェンダーや人権、多様性について学ぶオリエンがあります。それとは別に、職員向けの研修も実施されます。過去の研修では、LGBTQ+やデートDV、セクハラなど、当事者や専門家をお招きし、リアルな声を聞かせていただきました。現場だけではなく、管理部門もマーケ部門も全ての部門において、この視点を学ぶことは重要で、意味のあることだと考えています。
例えば、自分の配偶者のことを「奥さん」「家内」「主人」「旦那」という方がいたら、まわりから「それはジェンダー的によろしくないのでは?」とやんわりと指摘を受ける。あるいは、「妻」「夫」「パートナー」「配偶者」と呼んでいるのをみて、「こういう言い方があるのか」と学んでいく。そうした気づきはプランの職員として必要なこと、気をつけるべきことという考えが体に染みついているんだと思います。
――管理部門として、何か取り組まれたことはありますか。
事実婚を希望する職員も男女問わず増えてきました。部門内で協議し、社内で完結できる、社内独自で決められることに関しては規定を見直しました。
「結婚」という言い方も「法律婚」のみをさす言葉で、同性婚や事実婚を含まないことになるので「婚姻と同等にみなす関係」として定義し、関連する規程に反映させました。これによって、事実婚も同性婚も「結婚」した従業員がとれる結婚休暇や、義実家の介護のための介護休暇も取得できるようになりました。
ほかにも、小さなことかもしれないですが、届出書の書式で家族関係を書く欄があるのですが「扶養に入る/入らない」の記入欄が、「妻が扶養に入る」ことが前提に書かれていたのです。それを配偶者に変えました。
小さなことですが、目に入るワーディングを自分たちのポリシーに沿った形に変更するなどしています。
――柔軟に対応できるのがすごいなと思います。必要だと思っている人がいるのは認識しつつも、多くの人は困ってないよねと、思っている方が意志決定者には多いのかなと思います。
女の子や子どもたちとともに活動する団体だからこそ、差別や困難に直面する方たちの視点に立って「誰か傷つく人はいないか」と常に考えることは必要だと思っています。
それから、男女比も男性が6人に対し、女性が80人と圧倒的に女性が多いのもあるかもしれません。「女性だから」という理由で、これまでの経験の中で嫌な思いをしたことがある人の方が、明らかに多いのではないでしょうか。傷つく側の気持ちがわかるから、言葉選びも意識的になるんだと思います。
――やはり男女比が与える影響って大きいな、さすがだなと思いました。プランさんの例が他の企業にも普及するといいのにと思いました。最後に、かがみよかがみのコア読者である20~30代女性たちに何かメッセージをいただけますか。
「女だから」「女なのに」という言葉、今も残っていて驚きました。全然変わらないとくじけそうになる気持ちもわかります。でも、少しずつ変わってきていることもあるんですよ。
私が20代だったころは、「女はクリスマスケーキ」と言われた時代でした。24歳までに結婚しないと女の価値は下がる。その次は「結婚したら仕事やめるよね、常識だよね」、その次は「子どもを生むよね、当然だよね」という風潮がありました。
その時代に比べたら女性の選択肢は増えました。年齢によるプレッシャー、そんなものは幻だから。自分の気持ちに正直になってもらいたい。自分で居心地の良い場所を見つけてほしいなと思います。
まだまだ足りないことはあるけれど、よくなっている。これからもっとよくなるように、一緒に頑張っていきましょう!
エッセイ投稿サイト「かがみよかがみ」には、18~29歳女性たちが書いたエッセイが2万本超届いています。エッセイからは、かがみすと(投稿者)たちが、悩みながらも個人として社会をアップデートしていこうとする思いが伝わってきます。そして、かがみすとと同時代を生きる企業も同じく悩みながら組織としてチャレンジを続けています。かがみすとのエッセイに呼応する企業の「中の人」の声を届けます。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。