社会人3年目。プライベートと仕事の線引きって難しい。

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私は、プライベートで職場の人に会いたくないタイプだ。職場の人間関係は職場の中だけで終わらせたい。
なぜなら、同じ職場の人というだけで、何を話すにしてもとても気を使うからだ。

上司はもちろん、歳が近い先輩と話す時も、同期と話すときでさえ、とても気を使う。
体調不良で仕事を休んだ日には、先輩たちから心配するメッセージが届くが、失礼にならないように、でも素っ気なくならないようにと、返信の文面にとても気を使う。
気を使って疲れるから、職場の人には職場以外では会いたくないし、連絡だってしたくない。

そんな私だが、毎月ある職場の飲み会には、なるべく参加している。
私があらゆる同僚に気を使っている理由は、今の職場で人間関係を良好に築き、働き続けるためだ。
だから、同じ部署の人が多く来る飲み会への参加は、この職場で働く上で大事だろうと考え、ほとんど参加していた。
だが、最近、飲み会に参加する意義を見失っている。

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「4月の幹事、よろしく」

仕事中に上司から突然言われた。
4月の飲み会の幹事をしろということらしい。私が選ばれた理由を問えば、「そこに居たから」。今まで飲み会に参加してきたからか、私が断るとも思っていない様子だった。
いつもなら参加者は同じ部署の10名程度だが、今回は上司があちこちに声をかけたために人数は増え、40名程度になっていた。

大人数だから、お店選びから苦労した。
私の職場は田舎にあるため、職場の近くに大人数で宴会ができるお店はほとんどない。
しかも、毎月飲み会をしているため、行ける場所には行き尽くしている。
けれど、場所を遠くすると参加者が減るからなるべく近くで、と上司に言われた。

最初に思い当たったお店は、味が良くないと上司から却下された。
ちょうど4月から値上げをするお店も多く、予算との兼ね合いにも頭を悩ませた。
職場でも家でも、暇さえあればお店を調べていた。
最終的に決めたお店は、駅からは遠かったため、送迎の手配もしなければならなかった。
プライベートのかなりの時間を、この飲み会のセッティングに費やしたと思う。

当日は当日で忙しく、参加費を集めて計算して、乾杯の音頭を取って。退店時には、忘れ物がないか確認して、みんなを順番に見送って。
そんなことをしながら、思ってしまった。
飲み会に参加する必要って、あるのだろうか。

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飲み会を無意味なものだとは思っていない。
社会人として、仕事を円滑に進めるために、仕事外での社交も重要だと考えていた。
でも、職場を辞めたらそこでの人間関係は終わりを迎える。

今の時代、1つの職場で長く働くことのメリットは小さい。転職先は探せばそれなりにあるし、転職して新たなスキルを身につけることができれば、自分のキャリアを形成しやすくなる。収入だって上がるかもしれない。
仕事以外にやりたいこともたくさんある。
そんな私が、自分の時間を割いて、今の環境で仕事を続けるために飲み会に参加する必要があるのだろうか。

いや、今の環境を維持するためには飲み会の参加は大事だろう。
だけど、これからは?

今の職場を辞めた時、飲み会に参加した経験が活きることはあるのだろうか。
月に一度、移動時間も含めると約3時間はプライベートの時間を飲み会に費やしている。今回のように幹事を強いられれば、プライベートの時間はさらに費やされる。
その時間は、もっと自分の未来に繋がるような時間にできるのではないか。
自分のやりたいことやスキルアップになることに時間を使ったほうが、私の人生、より良くなるのでは。

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そんなことをぐるぐると考えていた次の日、上司に言われた。

「幹事お疲れ様。またよろしく」

とりあえず、次の飲み会は不参加としよう。